ロキシー・ミュージック活動再開後の復帰第一弾アルバムで通算7作目のアルバム。
同時期の人気だったニューウェーブ・バンドとは一線を画す洗練された大人のニューウェーブ感とAOR路線のバランスが心地良い。
- 1. Manifesto
- 2. Trash
- 3. Angel Eyes
- 4. Still Falls the Rain
- 5. Stronger Through the Years
- 6. Ain’t That So
- 7. My Little Girl
- 8. Dance Away
- 9. Cry, Cry, Cry
- 10. Spin Me Round
本家ニューウェーブバンドの面目躍如
どうやら活動を停止していたロキシー・ミュージックが、この『マニフェスト』を製作することになったのは停止中に発表されたフェリーのソロアルバムのセールスが芳しくなかったというのがもっぱらの見かただ。
だから、もしフェリーのソロ活動が順調だったら、この『マニフェスト』以降のロキシー再結成後のアルバムは無かったのかも知れない。
アルバムが発表された79年はモロにニューウェーブ全盛の時期なので、やはりこの『マニフェスト』もそれっぽい雰囲気は持っているが、アレンジの洗練性、演奏能力など当時人気だった若手バンドとは全く別次元とも言える格の違いを感じさせる。
そう言えば『マニフェスト』って言葉自体を始めて聞いたのはこのアルバムだった。
日本でも一般的に耳にするようになったのは比較的最近になってからだと思うが、ニュース番組とかでマニュフェストって聞いて「あのロキシーのアルバムのやつか!」と思い出したりもした。
ロキシー・ミュージック活動再開にあたりメンバーの内、シンセサイザーとヴァイオリンを担当していたエディ・ジョブソンのみが復帰しなかった。
これによってシンセサイザーを担当するメンバーがいなくなり、初期の頃のような飛び道具的なプレイもめっきり減って、より落ち着きのある洗練されたフェリー色が強い音楽性になっていく事になった。
一応、臨時メンバーとしてキーボードでポール・キャラックが参加しているが、どの部分を彼が演奏しているか分からないほど存在感は薄い。
活動再開を待っていたファンをさらにジラす、ややもったいぶったイントロが心憎い演出のタイトル曲『Manifesto』からスタート。
次のポップな『Trash 』の対比が面白い。
この曲の間奏部分の超シンプルだけど印象に残るベースラインのアレンジは、80年代に流行するデジタル・ロックを完全に先取りしたものだった。
『Angel Eyes』は、昔のCDはシングルバージョンをアルバムに収録していたけど、最近ではオリジナルのアルバムバージョンに戻っている。
個人的にはこっちの方がアルバムに馴染んでいるし、カッコ良いと思う。
『Ain’t That So』はフェリーのルーツであるR&Bをロキシーでやってみましたって感じだが、洗練され過ぎて以前までのロキシー・ミュージックの実験的なイメージとは違ってきている。
この『マニュフェスト』以降、このAOR路線をさらに強めてレストアルバムまで突き進む事になる。
そしてヒット曲『Dance Away』
何重にも重ねられたコーラス、リズムボックスと生ドラムを併用した粋な演出。
もう本当に隙がない名曲。 その反面、アルバムを通してフェリー以外のメンバーの影が徐々に薄くなってきている。
アルバム総評
活動再開を飾るに相応しいゴージャスで完成度の高いアルバム。
初期の名残のような実験的な要素を残しつつ、徐々にフェリーのAOR趣向が強くなってきている。
曲によっては、フェリーのソロでやっても良いのでは?とも感じるが、ソロの売り上げが想定よりも悪かったからこそバンドに取り入れたというのもあったのだろう。
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Manifesto
Roxy Music
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