80年代から現在でも活動している数少ないグランジ・オルタナ系バンド、ダイナソーJrの4枚目アルバム。発表は1991年だからまさにオルタナティブ・ロックブーム元年の時期だった。
- ザ・ワゴン
- ピューク・アンド・クライ
- ブロウイング・イット
- アイ・リヴ・フォー・ザット・ルック
- フライング・クラウド
- ハウド・ユー・ピン・ザット・ワン・オン・ミー
- ウォーター
- マック
- サム
- グリーン・マインド
- ホット・ブリトウ No.2
- ターニップ・ファーム
- フォゲット・イット
ダイナソーJrと言えばやっぱこれだ!
1985年にジェイ・マスシスを中心に結成されたダイナソーJrは、3枚目のアルバム『バグ』で英インディーズ・チャートの1位を獲得した事によりメジャーデビューするチャンスが訪れた。
YouTubeでは『Dinosaur Jr』で検索すると最初のワードに『Green Mind』と表示される。
ダイナソーJrを語るうえで外せないのが本作『グリーン・マインド』だ。
タバコをくわえた少女が写ったジャケットは、現在だと完全にアウトだろうが、当時としてもかなりのインパクトがあって印象に残っている。
この「プリシラ、ジョーンズビーチ、1969年」とタイトルが付いている写真は、ジョセフ・サボによるもので写真集「Almost Grown」に収録されている。
ロックにはいくつかの名盤が生まれた当たり年が何年かあるが。ダイナソーJrにとって初のメジャーアルバムである『グリーン・マインド』がリリースされた91年もグランジ・オルタナティブロックにとってそんな年だった。
当時、日本でもそれなりに注目を浴びて洋楽系の音楽雑誌にも好意的に取り上げられていた。
メンバーのフレミングとシュピーゲルは、アルバム発表時にすでに脱退しており、実質ほとんどのパートをジェイ・マスシスひとりでオーバー・ダブしてレコーディングを行っていた。
アルバムは収録曲で唯一のシングル曲『ザ・ワゴン(The Wagon)』からスタートする。
何の前振りや勿体ぶりもなくイントロを省略してAメロから入るインパクト、とてもほぼひとりで演奏しているとは思えないグルーヴ感、後半のたたみ掛ける疾走感とノイジーなのにメロディアスなギターソロというダイナソーJrの魅力が詰まっている。
多分シタールでの演奏もこの手のバンドとしては意外性があり、アクセントになっている。
『Thumb』でのファンキーな16ビート等、『Flying Cloud』の12弦ギター等、収録曲はバラエティーにも富んでおり、ただうるさいだけのオルタナティブバンドとは一線を画している。
ただポップでやかましい、ありふれたバンドとは一線を画すのはアコギを巧みに使った面白いコードの使いかただったり何といってもJ・マスシスのヴォーカルが、やたらと気だるそうで、いい意味での脱力感が妙な魅力になっている。
もともとはドラマーでありながらギターソロ弾きまくりのJ・マスシスは当時のインタビューで「ギターソロ?そんなのアドリブに決まってんじゃん」的な発言をしていたけど、これだけポップでメロディアスなソロはある適度考えてなければ弾けないはず。これは影で努力しているタイプだな。
アルバム総評
当時ジェイ・マスキスは、やる気のない言動から無気力大王とも呼ばれていたが、本作以降も順調にアルバムをリリースしているあたり、実は真面目な働き者なのだろう。
アルバム『グリーン・マインド』を聴けば彼がどれだけ音楽に真摯に向き合っていたかが分かるという物だ。
『グリーン・マインド』は、商業的には全米チャート168位と低迷し爪跡を残せなかったが、ロック・ファンに強烈なインパクトを残したのは間違いなかった。
ダイナソーJr.のアルバムは何枚も聴いてみたが、やっぱり『グリーン・マインド』以上に聴いていて気持ちが良いアルバムはなかった。まぎれもない代表作と言えるだろう。
コメント