ブライアン・イーノによる架空の映画サウンドトラックの第3弾。
アルバム制作にはイーノだけではなく弟のロジャー・イーノ、弟子?のダニエル・ラノア等、複数のアーティストが参加してのオムニバス形式となっている。
- ダニエル・ラノワ – テンション・ブロック – Tension Block
- マイケル・ブルック – 誤認 – Err
- ジョン・ポール・ジョーンズ – 四分通告 – 4-Minute Warning
- リディア・カヴィナ(セアミン)、マイシャ・マーリン – 彼女の原子のために – For Her Atoms
- ハロルド・バッド – 色彩におびえきるバルサス – Balthus Bemused by Color
- ブライアン・イーノ – 創造のテーマ – Theme From “Creation”
- ブライアン・イーノ – 聖トム – Saint Tom
- ブライアン・イーノ、ダニエル・ラノワ – ホワイト・ムスタング – White Mustang
- ブライアン・イーノ、ダニエル・ラノワ – サイレンズ – Sirens
- ブライアン・イーノ – アジアの河 – Asian River
- ララージ -ザラゴザ – Zaragoza
- ロジャー・イーノ – キホーテ – Quixote
- ロジャー・イーノ – 走り去る微笑 – Fleeting Smile
- ブライアン・イーノ、ロジャー・イーノ – オペラのテーマ – Theme for “Opera”
- ララージ – カリンバ – Kalimba
ソロ名義とは一味違うオムニバス
いつ、どのタイミングで入手したかは忘れちゃったけど、この『ミュージック・フォー・フィルム3』は、イーノと関連アーティストの楽曲がミックスされたバランスが良く、イーノ関連のアルバムの中では『アナザー・グリーン・ワールド』の次くらいに好きだな。
オープニングの『テンション・ブロック』は、ラノアの作曲でイーノ的でありながら、どこか違うリズミカルなミニマル・ミュージックのような面白さと緊張感のある楽曲。
続くマイケル・ブルックが作曲した『誤認』は、とりとめもなく流れるサックスの洪水のよう、その後の2曲も悪くはないがイーノの作風を模倣しながらしきれていない中途半端さを感じてしまった。
『創造のテーマ – Theme From “Creation”』でやっとイーノ御大の楽曲が登場する。似たような事をしながら、やっぱりこれなんだよなってしっくりくる感覚がある。
短い曲だけど内面から湧き出るようなエネルギーを感じる。
ピアノが弾けて音楽的素養もある弟ロジャーと楽器をマトモに弾けない自由奔放な兄ブランアンとの組み合わせは絶妙のコンビネーション。
2人が共作している『オペラのテーマ』なんかはまさにそんな曲で、基本路線はブライアンなんだろうけどロジャーが良い感じのサウンドの味付けをしている印象を受ける。
イーノ単独の曲だと穏やかな大河の流れをイメージさせる『アジアの河 – Asian River』が好きだな。
アルバム総評
とてつもなくポップとは程遠い音楽だけど、ノイズや環境音楽とも言い切れない独特のポップさもある。
まあイーノ自体はいつもの感じなんだろうけど、弟のロジャーやダニエル・ラノアはちゃんとした曲として作曲するからアルバムをトータルで聴くとバランスがちょうど良いのかな。
それぞれのアーティストが個性を発揮しつつ、イーノワールドに見事に調和していて、とかくイーノ個人の作曲だとアンビエントに寄りすぎて退屈になりがちな傾向にあるアルバムの緩やかなフックになっている。
今となっちゃ、この手の環境音楽をやっているミュージシャンはたくさんいるけど、やっぱり先駆者のイーノは別格の創造性を感じる。
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