ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ(Velvet Underground)

アンディ・ウォーホルによるバナナのデザインのジャケットはロックのジャケットアート史上最も有名な作品かもしれない。
ルー・リード率いるヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコの衝撃のデビューアルバム。
- 日曜の朝
- 僕は待ち人
- 宿命の女
- 毛皮のヴィーナス
- ラン・ラン・ラン
- オール・トゥモローズ・パーティーズ
- ヘロイン
- もう一度彼女が行くところ
- ユア・ミラー
- 黒い天使の死の歌
- ヨーロピアン・サン
斬新過ぎる音楽性で無視されるも90年代に再評価
このアルバムを初めて聴いた時、1曲目からどんな過激で暴力的なサウンドでスタートするのだろうかと期待していたら大きな肩透かしをくらった、のんびりとした名曲の『日曜の朝(Sunday Morning)』でアルバムが始まる。
次の『僕は待ち人(I’m Waiting For The Man)』は、デヴィッド・ボウイを始め多くのアーティストがカバーしているヴェルヴェット・アンダーグラウンドの最も知名度がある曲なので、なんらかなの形で聴いたことがある人も多いだろう。
ドラムのモーリン・タッカーいわく電車に揺られているようなリズムの平坦さと曲の終盤の暴力的なピアノの連打が印象的。
『ラン・ラン・ラン』でのルー・リードによるフィードバック奏法と引きつるようなノイズだらけのギターソロは90年代のロックムーブメント、グランジ、オルタナティブロックの原型ともいえる興味深い曲。
逆に言うとヴェルヴェット・アンダーグラウンドの音楽性が本格的に理解され評価されるまでそれだけ長い年月を要したともいえる。
またクラシック畑出身のジョン・ケイルによるヴィオラ、ヴァイオリンの使い方も実に自由でユニーク。
最後の『ヨーロピアン・サン』でついにヴェルヴェット・アンダーグラウンドの凶暴性が爆発する。
アンサンブルを無視したカオスサウンドはノイズが調和しているようにも聴こえるから不思議。
ドイツ人歌手、ニコの存在感
バンド結成当初、ルー・リードをはじめヴェルヴェット・アンダーグラウンドのメンバーはニコをメンバーに加えるのが不満だったようだがスポンサーのアンディ・ウォーホルのごり押しで渋々受け入れたと言われてる。
このヴェルヴェット・アンダーグラウンドのデビューアルバムにおいて、背徳の美女ニコの低く抑揚の少ない独特のうなるような声はアルバムのアクセントとなっており、ルー・リードの声との対比という意味でも面白く、この時点では必要な存在に思える。
アルバムを発表できた事自体が奇跡的?
どう考えても商業的に成功できるとはとても思えない音楽性だし、メンバーたちにも売れたい!と言う気持ちは全くないように感じる(実際はルー・リードは日本で人気がない事を気にしてたりする人だから売れたかったのかも知れないが)
クラシックとノイズが融合したようなサウンドとドラッグ、SM、同姓愛、道端にあれば目を背けたくなるような内容を歌詞の内容にしたヴェヴェルヴェット・アンダーグラウンドのファーストアルバムは、やはりアンディ・ウォーホルと言う超有名なスポンサーが必要不可欠だったように思う。
下手したらデビュー自体出来ないで全く日の目を見ないでバンドが消滅していた可能性もあったはずだ。
好き勝手にやらかしたこんなアルバムが、現在の日本のマーケットで安価で簡単に手に入ること自体が奇跡みたいなもんかもしれない。
- リリース 1967年
- プロデュース ヴェルヴェット・アンダーグラウンド
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