アンディ・ウォーホールのもとを離れロック・バンドサウンド色が強くなったヴェルヴェットアンダーグラウンドの2ndアルバム。
ファーストに比べるとルー・リードよりもジョン・ケイル色が濃くなっている。
- ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート
- ザ・ギフト
- レディ・ゴダイヴァズ・オペレイション
- ヒア・シー・カムズ・ナウ
- アイ・ハード・ハー・コール・マイ・ネーム
- シスター・レイ
2つの個性がヒートしてロック色強まる
オープニングは、騒がしく狂乱的ながら一定のリズムに乗ったドラマーのモーリン・タッカー曰く「電車に乗ってるようなリズム」が特徴の『ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート』から始まる。この曲は後にデヴィッド・ボウイをはじめ多くのミュージシャンに影響を与えリスペクトされた曲として知られる。
この『ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート』1曲を聴いただけで明らかにメランコリックな前作とは違う意図で作られたアルバムだという事がわかる。
ジャケットデザインを含め全面プロデュースしていたアンディ・ウォーホル及びニコに決別して初めて見せたこのバンドの凶暴な本性であり、今作を最後にジョン・ケイルは脱退してしまうので実質ヴェルベット・アンダーグラウンドのオリジナルメンバーでの最終作が本アルバムである。
2曲目『ザ・ギフト』(Gift)は、左チャンネルからジョン・ケイルの詩の朗読、右チャンネルからはルー・リードのギターノイズを中心としたバンド演奏が収録されているのだが、この2つのサウンドは曲の最後まで全く噛合う事なく演奏されている。
これはおそらくケイルのアイディアなのだろうが、今現在聴いても充分斬新な曲だ。
これを60年代にやっていたのだからほとんどの人は理解できず全くと言ってよいほど売れなかったのも仕方ないところか。
『レディ・ゴダイヴァズ・オペレイション』での抑揚のない抑え気味の演奏は、静かなる狂気を感じる。曲と途中でヴォーカルがケイルに加えてリードが混ざってくるのがユニーク。
さらにバックのヴィオラとギターノイズを融合した演奏がカオス感を演出する。
曲の途中で一瞬すべての音が止まり、静寂をやぶる獣の呻きのようなギターノイズが実にカッコ良い。
『アイ・ハード・ハー・コール・マイ・ネーム』は、元祖パンク・ロックともオルタナティブ・ロックとも言える曲で性急なリズムに本能のおもむくままにギターを弾きノイズも演奏の一部として取り入れた。
圧巻はラストを飾る『シスター・レイ』(Sister Ray)』。
単純なギターリフを中心に17分30秒間、延々とひたすらノイズを繰り出すこの曲に別世界に連れて行かれそうに感覚になる。
アルバム総評
ヴェルヴェットアンダーグラウンドは結局最後まで成功とは無縁のバンドだったが、特にこの『ホワイトライト・ホワイトヒート』は、その後のパンク、ニューウェーブ、90年代のオルタナティブロックにまで与えた影響は計り知れない。
このアルバムの創造性に比べると現代のロックはいつから伝統芸能になってしまったのだろう?と思えてくる。
既成の概念にとらわれず我が道を突き進む事がロックだとしたら、この『ホワイトライト・ホワイトヒート』は紛れもなくロックそのものだった。
- リリース 1968年
- プロデュース ヴェルベット・アンダーグラウンド
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Lou Reed,ルー・リード/無限大の幻覚
コメント
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TBありがとうございました。
いつの間にかリンクまで!ありがとうございます。
こちらからもリンクさせてもらいます。
「電車に乗ってるようなリズム」って面白い表現ですねえ。
売り上げに関係なく、影響力のあるバンドって凄いと思います。
VUはその頂点ですね。
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なかなか音楽の趣味が合う人いないのでリンクしとかないと見失っちゃうと思ってw
モーリンのインタビューはNHKで放送してました。
結構レアかな。
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ssea093@jcom.home.ne.jp新しい情報があればメールください
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リンク切れのご指摘ありがとうございます。
早速直しました。
ライブ映像も追加しました。