LP2枚組で発売されたジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス68年発表のセルフ・プロデュースによるサード・アルバムでありラストアルバム。全米1位。全英6位。
- ザ・ゴッズ・メイド・ラヴ
- エレクトリック・レディランド
- クロスタウン・トラフィック
- ヴー・ドゥー・チャイル
- リトル・ミス・ストレンジ
- ロング・ホット・サマー・ナイト
- カム・オン(レット・ザ・グッド・タイム)
- ジプシー・アイズ
- ミッドナイト・ランプ
- レイニー・デイ・ドリーム・アウェイ
- 1983
- ムーン、ターン・ザ・タイズ
- スティル・レイニング、スティル・ドリー
- ハウス・バーニング・ダウン
- オール・アロング・ザ・ウォッチタワー
- ヴードゥー・チャイルド(スライト・リターン)
当時のトレンドだった2枚組
1968年にはクリームの『クリームの素晴らしき世界』、ビートルズの『ホワイト・アルバム』が発売されている。当時のロックで2枚組アルバムはトレンドだった。
そんな年に2枚組で発売された『エレクトリック・レディランド』は、ジミヘンの最高傑作と一般的には言われている。
しかし初めて聴いた時にボリュームがあり過ぎて退屈に思えて、どう考えても最初の2枚のアルバムのほうが傑作でしょ!と個人的にどうしでも納得できていなかった。
過去2枚のアルバムをプロデュースしたチャス・チャンドラーは、ジミヘンのドラッグ癖に嫌気がさして仕事を降りたと言われており、最初で最後となるセルフ・プロデュース作品となった。
最初に発売されたイギリス盤では数人のモデルがヌードで映っている通称ヌード・ジャケットだった。
日本でもそのまま発売されたが、高校生の私はこれを手に取ってレンタルショップのレジに持っていく勇気がいった。
ジミヘン本人は、このジャケットを気に入っていなかったらしく、諸般の問題もあってか現在では横顔のアップジャケットになっているが、逆にヌードジャケットのほうはプレミアが付いてしまっている。
いかにもジミヘンな曲『クロスタウン・トラフィック(Cross Town Traffic)』は、日本でCMソングに起用された代表曲のひとつ。
ただこの曲の間奏前のギターリフいきかけて途中でやめた?みたいな部分が妙に気になるんだよな。
『ヴードゥー・チャイル(Voodoo Chile)』の最初のバージョンはまあ普通にブルースって感じだが、『Voodoo Chile (Slight Return)』を聴くと大胆にワウを効かせたワイルドな演奏とギターソロはまぎれもなくジミヘンならではのものになっている。
ベースのノエル・レディングがヴォーカルを取る『リトル・ミス・ストレンジ(Little Miss Strange)』は、どう考えてもアルバムから浮いているし、いらないと思うんだけど、この曲をアルバムに入れたのはバンドとして維持する為のジミの気遣いだったのかも知れない。
にもかかわらずノエルは本作『エレクトリック・レディランド』を最後にジミヘンの元を去ってしまう。代わりにビリー・コックスが加入したが、ツアー中に精神を病んでしまう。困り果ててノエルに戻ってくるように頼むが結局、彼は戻らずにツアーは中止になったしまった。
『カム・オン(レット・ザ・グッド・タイム)come on』のバンドとしてのリズムの一体感とキレ、前のめり気味に繰り出されるアグレッシブなギターソロ(多分アドリブ)が聴きどころ。
アルバム中で一番好きな曲は『1983…』かな。ハード・ロック風のリフから始まって宇宙と交信しているかのような後半の展開、シンプルなスリーピースバンド編成かつセルフプロデュースでこのサウンドは天才のなせる業でしょう。
ライブではすでに披露されていたボブ・ディランのカバー『見張塔からずっと(All Along The Watchtower)』も後半に収録されている。
まとめ
やっぱり改めて聴き直してみても個々の曲のクオリティーはすごいんだけど、好きな曲もあるし、そうじゃない曲もあり、別々のセッションをつなぎ合わせたようなとりとめのないアルバムだなと感じる。
ただ最高傑作って言われれば確かにそうかもなと納得できるようになった。
以前、聴いた時はリマスター前だったので音がこもりぎみで迫力がなかったし、何よりヌードジャケットだとインパクト強すぎて曲が入ってこなかったのかも知れない。
やっぱりこんなギター弾ける人、ほかにいないと実感したのだった。
コメント