2004年パナソニック「VIERA」のTVCM曲『アヴェ・マリア』をタイトル曲として収録したクラシックの名曲をベースに2曲の新曲をプラスした当時のベストアルバムに近い内容の全米クラシックチャートで最高2位を記録した2006年発表アルバム。
- アヴェ・マリア
- 私を泣かせて下さい
- ウインターライト
- エニィタイム・エニィウェア
- アルハンブラの想い出
- さよなら、ふるさとの家よ〜歌劇「ワリー」第1幕より
- 夜の踊り
- セレナーデ/ここは素晴らしい場所
- 私のお父さん〜歌劇「ジャンニ・スキッキ」より
- ラ・ルーナ
- ピエ・イエス
- フィリオ・ペルドゥート
- ネッスン・ドルマ(誰も寝てはならぬ)
- バイレロ
- タイム・トゥ・セイ・グッバイ
- あたりは沈黙に閉ざされ〜歌劇「ランメルムーアのルチア」より
癒されたい人に向けた歌声
サラ・ブライトマンを聴いている人とは日本ではどんな人なんだろうと考えてみる。
もともとクラシック音楽が好きな人、CMで聴いて何となく気になった人、もちろん色々なパターンがあるはずだが一言で強引に集約して言えばその歌声に「癒されたい人」と言えるのではないだろうか。
サラ・ブライトマンは一応クラシックに分類されるが、その歌唱は時にポップス寄りでもあり完全なクラシックとも言えないし、明らかにクラシックファンだけではないファン層を取り込む事に成功した代表的な歌手と言える存在だ。
アルバムリリース前から日本ではサラ・ブライトマンの楽曲はCMなどのタイアップが多かったが、特に2000年代に入ってからはフィギュアスケートで金メダルを獲得した荒川静香選手が『アヴェ・マリア』をテーマ曲に、総合格闘技HERO’Sで優勝した秋山成勲選手は『タイム・トゥ・セイ・グッバイ』を入場曲にしていた事で、おそらく普段はクラシックどころかCDも買わないような新しいファン層までも取り入れて人気がさらに上がっていたようだ。
この時期のサラ・ブライトマンは、まさしくクラシカル・クロスオーヴァーと呼ばれるに相応しい活躍ぶりだった。
まずはシューベルトの名曲でアルバムタイトルにもなっている日本でのみシングルカットされた『アヴェ・マリア』から始まる。
どことなくエンヤを意識したようなアレンジに澄んだサラ・ブライトマンの歌声が加わるとヒーリング効果は抜群だ。
次の『私を泣かせて下さい』は、ヘンデルのオペラ曲。
こちらもかなりのメジャー曲なので聴いた事がある人が大半だろう。
選曲は過去のアルバムからとにかくベタなクラシックの名曲が中心になっている。
このアルバムを聴くほとんどの人は普段クラシックを聴かない層だろうから、そのほうが安心して聴けるというものなのだろう。
3曲目の『ウインターライト』は、映画「秘密の花園」の主題歌だった曲でクラシックというよりポップス寄りの楽曲。
日本でもピアノ曲として馴染みがあるラフマニアフの『セレナーデ』も収録されている。
『ピエ・イエス(Pie Jesu’)』のみが、アンドリュー・ロイド・ウェバーによる書下ろしオリジナル曲、フランシスコ・タレガ作『アルハンブラの想い出』とショパン作『夜の踊り』は新しい歌詞をそれぞれ付けてロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラが演奏しているバージョンとなっている。
最大のヒット曲「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」は、ソロ・ヴァージョンで収録。
ラストに収録されている『あたりは沈黙に閉ざされ』は、日本盤のみのボーナス・トラックとなっている。
アルバム総評
歌がうまい歌手はたくさんいるが大抵はあっと言う間に人気が出て飽きられて捨てられてしまう。
楽曲がクラシック中心なだけになかなか聴き飽きない強みがある。
サラ・ブライトマンは、ただ歌がうまい、声が美しいだけじゃない「癒し」効果のある声に加えて相乗効果としてあの妙になまめかしいルックスがある。
クラシックをメインストリームに持ってくるにはやはりルックスを利用した力業を使うしかないのかも知れない。それにしてもアルバムの内ジャケ写真がエロすぎっす。
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