ロキシー・ミュージックの中期を締めくくる5thアルバム。
代表曲となった『恋はドラッグ(ラヴ・イズ・ザ・ドラッグ)』は、全英2位、全米30位のヒットを記録。
その他にもバランスのとれた曲揃いで多くのファンが最高傑作として推すのも納得の出来栄え。
- 恋はドラッグ(ラヴ・イズ・ザ・ドラッグ)
- エンド・オブ・ザ・ライン
- センティメンタル・フール
- ワールウィンド
- シー・セルズ
- クッド・イット・ハップン・トゥ・ミー?
- ボウス・エンズ・バーニング
- ナイチンゲール
- ジャスト・アナザー・ハイ
シンプルに洗練されていく美学
このロキシー・ミュージックの『サイレン』のジャケットを見るたびに「やっぱりジャケットも含めてアルバムだし音楽なんだよな」と実感する。
この真っ青の色合い、海の精霊サイレンに扮した当時フェリーの恋人だったモデルのジェリー・ホール(元ミック・ジャガー婦人)。
これだけでアルバムの期待感がグっと高まってくる。
『恋はドラッグ』の極限にまで音数を減らしたドラムとギターのカッティングに対照的に動きまくるベースラインが実にカッコよい。
ロキシー・ミュージックは、オリジナルメンバーだったベースが脱退してから、正式なメンバーを入れずにベーシストを都合に応じて替えてきたが、ジョン・グスタフスンのベースは本当に曲調とハマっている。
初めて『シー・セルズ』を聴いた時、なんてカッコよい曲なんだ!と思った。
あれから20年くらい経った今でもそう思う。
50年代の『ロックンロール』と90年代の『未来』の融合というコンセプトは健在ながら、初期の2枚のアルバムに比べるとシンセサイザーノイズもほぼ無くなり、ずいぶんスッキリしたシンプルで洗練されたサウンドになり聴きやすくなった。
収録された全10曲中、5曲がフェリーとメンバーの共作でバンド単位で曲作りになっているのは、一応このアルバムでラストだからクレジットに入れたかったっていう権利関係の事情もありそうだ。
演奏はむしろフェリーを中心に抑え気味になっている。
特にエディ・ジョブソンの存在感がどんどん薄まっているのが気になる。
アルバム総評
ハズレのアルバムがないロキシー・ミュージックの中でも特に収録曲で捨て曲なしのアートロックにディスコを取り入れた名盤。
今改めて聴いてみると『ボウス・エンズ・バーニング』のAOR路線は次の展開への布石だったんだな。
とは言ってもこの時点でフェリーさんは、ソロ活動に熱心だったのでアルバム発表後に解散を発表していったんロキシー・ミュージックの活動に幕を下ろす事となった。
本当に次のアルバムは考えていなかったようでロキシー・ミュージックが再活動するのは4年後の1979年となるのだった。
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