アメリカでCDの売り上げが2004年以来初めて前年比増になったというニュースが2022年3月にあった。
CD以外の物理メディアも数年前から徐々に売り上げが増えているという。
もしかしてそろそろCDを見直す時期に来ているのかも知れない。
その理由とCDならではのメリットを考えまとめてみた。
近年は右肩下がりだったが見直された?
CDの売り上げが前年比UPと言っても微増程度で今後も大きな回復は望めないだろう。
CDの生産、売上げは年々減少しており、完全に斜陽メディアとなっている。
一番CDが売れていた90年代では、CD以外にほとんど音楽を聴く選択肢がなかったから売れていた訳で選択肢が多くなった現在、かつてのようなミリオンヒット連発なんてまずありえない。
個人的にも確かに最近ではあんまりCDで音楽は聴かなくなっているが、CDは中古も含めて買い続けている。
そういや1枚3.000円でCDアルバムを購入するしかなかった時代と無料や定額で音楽が聴ける現代、どっちが楽しかったかというと3,000円で買っていた頃だった。
CDを購入する理由と魅力を並べてみよう。
音質が良い
ダウンロード曲やストリーミングは、音を圧縮しているからCDより音質が劣るというイメージは根強くある。
確かに自分でMP3やWAVに変換して取り込んだ楽曲よりは確実に音質は良いが、最近のサブスクではCDの16bitを上回る24bitハイレゾ音源が主流になってきており、以前のように音質がCDのアドバンテージではなくなってきている。
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無くならない安心感
サブスクだと昨日まで聴けた楽曲が、何らかの理由である日聴けなくなってしまう可能性があり、これは実際に経験した事がある。
それとダウンロードしてデータとして楽曲を持っていてもハードディスクが故障したり、USBメモリが壊れて聴けなくなるリスクがある。
やはり好きなアルバムや楽曲のCDがあっていつでも聴けるという安心感はある。
現物のコレクション
もはやたいして聴く事もないのに、CDを購入しているのは実質コレクション化していると言って良いのかも。
これはもうポケモンカードや切手と同じようなカテゴリーなのだろうか?
それでもCDは聴く事ができて実用性もあるし、味気ないストリーミングにはないジャケットや帯、歌詞カード等がある。
そしてジャケットの裏などにレコーディングに参加したり、協力した人のクレジットが入っていたりしてデータベース的な意味合いもある。
洋楽の場合、日本語訳の歌詞カードが付いていたり、ライナーノーツが付属している事が多い。
中にはアーティスト直筆の歌詞カードを印刷した物や自ら解説をしている場合もある。
例えばエルヴィス・コステロは、過去のアルバムがまとめて再発された時に本人がアルバム毎に丁寧に解説をしていた。
CDの予約特典としてポスター等のグッズが付いてたりするケースもある。
これらのオマケ的な要素はファンにとっては間違いなくCDを購入するメリットだが、これが行き過ぎたのがAKB商法なんじゃないだろうか。
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ファングッズ
ライブに行くと物販でCDが売られていて思わず購入しちゃったって経験がある人もいるのではないだろうか。
ライブが良かったら何かグッズが買いたくなるのがファン心理。
私だったらライブ会場でダサいTシャツとか、スッカスカな内容のプログラム買うくらいならサイン入りだったらCD買うかな。
貸し借りができる
CDという現物があるからこそできるのが貸し借りという文化。
最近ではレンタルCDショップも減ってきているし、友達や恋人同士で貸し借りするという機会も減ってきているのかも知れないが、お互いの好きな音楽を確認して知らない音楽と出会うというのも、なかなかオツなものじゃないだろうか。
まあ、貸したまんま別れちゃって帰ってこなかったなんて事もあるけどね・・・
不要になったら売る事ができる
ダウンロードならデータを買い切り、ストリーミングは解約したら何も残らないが、CDなら手元に残り不要になったら売る事ができる。
たくさん売れて人気がないタイトルは二束三文だけど、マニアックなレア盤だったら定価を超える金額で売れる事もある。
これは結構大きなメリットかも知れない。
アーティストへのお布施
サブスクで楽曲が1回再生される毎にアーティスト側に支払われる金額は約0.01円と言われており、当然ながらマイナーなアーティストほどほとんど収入にならない。
参考記事
これがCDだったら作詞作曲をしているシンガー・ソング・ライターの場合、作詞3%+作曲3%+歌唱1%の著作権収入があるのだから、実入りがまるで違う。
自分が好きなアーティストを応援したい気持ちがあるのなら、やはりCDを買うべきではないだろうか。
CDでしか聴けない曲やアーティストがいる
CDを買う最もシンプルな理由がこれ。
まずマニアックなアルバムやアーティストだとサブスク対象外だし、YouTubeでもアップロードされていなかったりする。
さらにサブスクを解禁していないアーティストも大物だと山下達郎や中島みゆき等、結構いたりする。
時間がちょうど良い
CDの最大収録時間は74分。LPレコードは両面で45分程度だったが、これではちょっと物足りない。
しかし80分以上となると一気に聴くにはボリュームがあり過ぎる。
聴き放題でダラダラ聴いていてもどうしてもダレてしまう。
1時間程度で区切りが付きやすく、気に入ったらリプレイしても良いし、別のディスクと入れ替えても良い。アルバム単位で音楽を聴くにはCDが最適ではないだろうか。
音楽を聴く時のストレスが少ない
最近だとAmazon Musicが改悪で強制シャッフルになって、その対処法を探している人が多い。
自分の好きなように音楽が聴けないのは結構なストレスになる。
CDを購入してしまえば曲順もプレイリスト編集も完全に自由だ。またネット回線の状態によって音楽が曲の途中で途切れる心配もない。
サブスクだと音楽を聴くのにネット環境が必須だが、スマホやパソコンの電源を落として夜中にまったり音楽を聴きたい時はやはりCDで聴きたい。
まとめ
個人的なCDを購入する大きな理由は、好きな音楽をモノとして所有する、コレクションする満足感、そしてアーティストへのリスペクトがある。
その場限りで消費されるBGMではなく、現物メディアで良い音楽をじっくり聴ける事に尽きるのではないだろうか。
聴き放題の時代になっただけにCDの不便さが逆にちょうど良く感じるのかも知れない。
今後はLPレコードと同様にCDは限られた音楽マニアによって支えられていく事になるのだろうが、音楽マニアがいる限りCDは無くならないと確信している。
コメント
興味のある内容、文章でした。お陰でcdを買うのは、アーティストへのリスペクトからだと言うところにいきました。買う側もメリカリでいいじゃない!?ってときになります。なにより少し面白かったです。ありがとうございます。
CDを買うのに理由を見つけなけらばいけないというのはミュージシャンにとって厳しい時代ですね。CDが売れなくてもサブスクでも収入になるシステムが必要だと思います。