ブライアン・イーノが92年にリリースした初期のソロ作品のような実験的かつポップさもある久々のヴォーカル入りアルバム。
それまでに発表してきたアンビエント路線とは明らかに異なり、デジタルロック的なリズムを取り入れたり、初期のような分かりやすいヒーリング的な楽曲も収録されている。
- FRACTAL ZOOM
- WIRE SHOCK
- WHAT ACTUALLY HAPPENED
- PIERRE IN MIST
- MY SQUELCHY LIFE
- JUJU SPACE JAZZ
- THE ROIL, THE CHOKE
- ALI CLICK
- DISTRIBUTED BEING
- WEB
- WEB [LASCAUX MIX]12. DECENTRE
90年代のイーノを代表するアルバム
1曲目の『FRACTAL ZOOM』を聴くとどうしても同時期に発表されたデヴィッド・ボウイのアルバム、『ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ 』に収録された1曲目の『ユーヴ・ビーン・アラウンド』を思い起こしてしまう。
特別似ているって訳じゃないんだけどスネアの音とかヴォーカルのエフェクターのかけ方とかシンセで構成された音の質感と雰囲気が似ているのだ。
やっぱりお互いにどこか意識し合っている部分はあったのかも知れない。
とは言ってもポップな曲はこの1曲くらいでやっぱり後は偶然性を重視したような実験的なサウンドが並ぶイーノらしい内容。
2曲目の『WIRE SHOCK』のギターソロっぽい演奏がフリーキーでかっこ良いと思ってクレジットみたらギタリストの名前がなかったので、これはシンセでギター風に弾いているらしい。
イーノがヴォーカルを録っているもう1曲は『The Roil,The Choke』。
実験的なリズムと牧歌的なアレンジとヴォーカルが乗るこの感じはやっぱり初期のアルバムを連想させる。
共同プロデュースはマーカス・ドロウズが担当。
アルバム総評
シンセサイザーを駆使して生音を交えながら創り出される実験的かつスリリングな楽曲は、決してアンビエント等ではなく、部分的に切り取れば極めてロック的でありケミカル・ブラザースを先取りしたような音楽性も感じる。
それでいて実験性と偶発性を重視しながらポップな全体を通しての感触は、名盤『アナザー・グリーン・ワールド 』にかなり近い。
もしかしたらイーノは、90年代なりの『アナザー・グリーン・ワールド』を作りたかったのかも知れない。
70年代との違いはテクノとハウスを通過したかどうかでこの差はかなり大きい。
それらのリズムを味付けにして実験をしてみたら妙にお洒落でカッコよい仕上がりになった。
この『ナーヴ・ネット』を聴いているとケミカル・ブラザーズもエイフェックス・ツインもダフトパンクもイーノの子孫なのだなと実感した。
ナーヴ・ネット収録曲の動画
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Wire Shock
Juju space jazz
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