日本でも放送されたmacbook(マックブック)CMソングの『New Soul』のヒットで知られるシンガー・ソングライター、ヤエル・ナイムの2枚目のアルバム。
国籍と音楽ジャンルを超越したオリジナリティ、派手さは無いが馴染みやすくアコースティックな曲調に癒される。
TVドラマ「最後から二番目の恋」挿入歌の『Go To The River』を収録。
- Come Home
- My Dream
- She Was A Boy
- Go To The River
- Never Change
- I Try Hard
- Today
- Mystical Love
- Man Of Another Woman
- Puppet
- Stupid Goal
- If I Lost The Best Thing
- Game Is Over
エキゾチック・ヒーリング・ポップス
ヤエル・ナイムに関しては『New Soul』以外の何の情報も無いままにライブをどうしても行きたくなってチケットを購入してしまったので、急いで聴いたのがこの『シー・ワズ・ア・ボーイ(She was a boy)』だった。
ヤエル・ナイム ライブ2012/08/01@渋谷クラブクアトロ
『New Soul』を聴く限りでは、もうちょっとヒット曲狙いのポップ路線のミュージシャンかな?と思っていたけど、実際はフォーク、ジャズ、ポップス、中近東系エスニックなど多彩なバックボーンを持ち、アルバムで勝負出来る実力のあるシンガー・ソングライターだった。
その『New Soul』から3年後にリリースされたのが本作『She was a boy』となる。
パーカッショニストのダヴィッド ドナスィヤンと共作の『Go To The River』以外の全曲をヤエル・ナイムが作詞・作曲している。
オープニングの『Come Home』は、『New Soul』系統の聴きやすく一般受けしそうなシングル向けの曲。
タイトル曲である『She was a boy』のアレンジは、いかにも中近東風だが、ヘブライ語ではなく英語で歌っているのが前作との大きな違いになっている。
この手の音楽に英語の歌詞が載っていると新鮮に聴こえるし、多くの人が聴くきっかけにもなった。そしてそれはアルバムを通してのコンセプトだったようだ。
ブルース調の『Never Change』、聴き慣れない中近東風のリズムとメロディが新鮮なアルバム中で唯一プログラミングを利用した楽曲『Man Of Another Woman』等バラエディに富んでいる。
『Go To The River』が、どういった経緯でドラマの挿入歌になったのかは分からないが、その他の収録曲もかなりユニークで楽しめる。
アルバム総評
大部分がヤエル・ナイムの自室アパートでコンピューターを極力排してレコーディングされた中で、全体を通してクリスタル・オルガン、オンド・マルトノ、グラス・ハーモニカなど珍しい楽器を演奏するトーマス・ブロッホの存在が大きい。
その他にもシタール、シロフォン、チャランゴなど通常のポップミュージックではあまり使われない楽器を加えたアレンジは中近東的でありながら英語で歌われているので無国籍観が強く出ている。
フォークが好きな人もジャズが好きな人もエスニックが好きな人も全部受け入れちゃいそうな懐の深さを感じるアルバム。
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