シックス・ペンス・ノン・ザ・リッチャーのヒットシングルで代表曲『キス・ミー(Kiss Me)』を収録した3枚目のアルバム。
ナチュラルでアコースティックなサウンドの中にも独特のノスタルジックでメランコリーなセンスが光る。
- ウィ・ハヴ・フォーゴトン
- エニシング
- ザ・ウエイティング・ルーム
- キス・ミー
- イージー・トゥ・イグノア
- プエド・エスクリビル
- アイ・キャント・キャッチ・ユー
- ザ・ラインズ・オブ・マイ・アース
- シスター,マザー
- アイ・ウォント・ステイ・ロング
- ラヴ
- ムーヴィング・オン
- ゼア・シー・ゴーズ
- キス・ミー
- サッド・バット・トゥルー
日本デビュー作にしてすでに完成した音楽性
このアルバムの原題は、バンド名をそのままアルバムタイトルにした『Sixpence None The Richer』だったが、日本デビュー盤ではヒット曲と同じ『キス・ミー』に変更。うーむあざとい。
すでにベスト盤を聴いていたのでどうせこのアルバムの大半の曲が収録されているのだろうと思って聴いてみたら違っていた。
確かにシングル・ヒットした『キス・ミー』とラーズのカバー曲である『ゼア・シー・ゴーズ』は、ベスト盤にも収録されているが、その他の半分以上の曲はこのアルバムで初めて聴く曲だったので何だか得した気分になった。
収録曲の中で、とりあえずシックス・ペンス・ノン・ザ・リッチャーを語るうえで『キス・ミー』は絶対に外せない。
1999年公開のアメリカ映画、『シーズ・オール・ザット』の主題歌になったのをきっかけにヒットは全世界レベルに広がり、グラミー賞にノミネートされるほどの人気ぶりだった。
日本でもCMソングになったりしているので聴き覚えのある人も多いだろう。
もう1曲外せないのがザ・ラーズのカバー曲である 『ゼア・シー・ゴーズ(There She Goes)』だ。
元からシンプルで美しいメロディーラインの曲だが、リー・ナッシュの澄んだかわいらしい声と軽快でさわやかなアレンジで原曲を超えたといって良い出来栄えになった。
ちょっと驚かされたのが『ウィ・ハヴ・フォーゴトン(We have forgotten)』から『エニシング(Anything)』を挟んで『ザ・ウエイティング・ルーム(The waiting room)』まで曲の繋がりを意識したアレンジになっていてプログレ風な曲の構成になっている点だった。
一応別の曲として区切ってあるとは言えこの曲の繋がりがある中でテンポやキーが変わる妙な心地よい裏切りはまさにプログレ的。
でも変拍子とか出てくる本格的な奴じゃなく初期のスマパンぽい展開に近い感じのあくまでもプログレに影響受けてちょっと取り入れてみましたっぽい感じ。
こんな曲の繋がりを意識した作りはベスト盤で聴いてちゃ分からないし、ましてや曲ごとぶつ切りのダウンロードじゃ分かるわけない。
やっぱり音楽はアルバムで聴かなくちゃ!
アルバム総評
ヒット曲『キス・ミー』と『ゼア・シー・ゴーズ』のみで語られがちだが、その他の収録曲も時代を超越した普遍的なメロディーの魅力とシンプルなアレンジ、リー・ナッシュの安定した歌唱と爽やかな声はエバー・グリーンと言える。
この日本デビューアルバムとなる『キス・ミー(Kiss Me)』を聴いて確信したのはこのバンドは多分他のアルバム聴いても外す事はないだろうって事だった。
実際にその後に他のアルバムを聴いてやはりハズレはなかった。
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