ビョークの本領発揮の2ndアルバム。
音楽的に非常にバラエティに富んでいて、その世界観は誰とも似ていないほどぶっ飛んでいる。
代表曲の1つ『ハイパーバラッド』を収録。
日本盤にはボーナストラックとして『アイ・ゴー・ハンブル』を収録。
- アーミー・オブ・ミー
- ハイパーバラッド
- モダン・シングス
- イッツ・オー・ソー・クワイエット
- エンジョイ
- ユーヴ・ビーン・フラーティング・アゲイン
- イゾベル
- ポッシブリー・メイビー
- アイ・ミス・ユー
- カヴァー・ミー
- ヘッドフォンズ
- アイ・ゴー・ハンブル (ボーナス・トラック)
アイスランドから異世界へ
前作の牧歌的な雰囲気とクラブサウンドを期待していると、いきなり冒頭の前作『デビュー』制作時にパートナーだったグレアム・マッセイと共作『アーミー・オブ・ミー』のデステクノに驚かされる。
この曲はアルバムに先駆けてシングルリリースされ全英10位のヒットとなった。
お!?今回のアルバムはこの路線で行くのかな?と思わせといてこの手の曲は『エンジョイ』以外にはもう出てこない。
その次の曲の『ハイパー・バラッド』のバックに流れるメロディとまったく関係なく鳴り続けている電子音を聴けばビョークがブライアン・イーノに大きな影響を受けていると発言しているのも納得。
ただし、取り入れているのはあくまでもイーノの手法をパーツとして取り入れただけで完全なポップソングに仕上げているのは見事というしかない。
さざ波のような電子音ビートとエモーショナルな声が融合したこの曲は、90年代半ば間違いなく時代の一歩先を行っていた。
そうかと思えば『イッツ・オー・ソー・クワイエット』のビックバンドジャズをやったりと捕らえどころがない展開なのに全然散漫な印象は受けない。
ストリングス演奏をバックに歌う『ユーヴ・ビーン・フラーティング・アゲイン』と『イゾベル』は、4枚目のアルバム『ヴェスパタイン』を予感させる。
『ポッシブリー・メイビー』では、リズムマシーンを使ってブライアン・イーノが演奏したかようなバックに静かに時に情熱的に歌い上げる。
こんな楽曲はビョークでなきゃ創り出せないし、歌いこなせない。
アルバム総評
アルバム『ポスト』は、1曲ごとはバラバラな楽曲なのに強引にまとめてしまうビョークの唯一無二の個性とそれを支えるネリー・フーパーらのクラブ系プロデューサーによって成立している。
サウンド的には聴きやすい『デビュー(Debut)』でのアイスランドの牧歌的風景に加えて先鋭的なテクノサウンドを取り入れてSF的世界観に進化させたスケール感は圧倒的で『ポスト』は初期ビョークの代表的なアルバムと言えるだろう。
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