デヴィッド・ボウイのジギー・スターダストツアー中の1972年10月20日にアメリカのサンタモニカで行われたライブ盤。
当時FM放送でオンエアされた為に大量の質の悪いブートレグが発売されていたが、オフィシャルでやっとリマスターされてリリースされたファン待望のアルバム。
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- 君の意志のままに
- 屈折する星くず
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- スーパーメン
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- 5年間
- スペイス・オディティ
- アンディ・ウォホール
- マイ・デス
- 円軌道の幅
- クイーン・ビッチ
- 月世界の白昼夢
- ジョン・アイム・オンリー・ダンシング
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- サフラゲット・シティ
- ロックン・ロールの自殺者
94年以来の再発ライブ盤
日本盤は輸入国内盤仕様で、当日のチケットの複製、フォト・カード、ブックレットが同梱された限定ボックス仕様(コレクターズ・ナンバー入り)。完全初回限定。
このライブは1972年10月20日サンタモニカ、シヴィック・オーディトリアムでの録音だが実は以前にもテイチクから発売されていた事がある。
もともとこの音源はボウイが当時所属していたレコード会社RCAがライブ盤発売のために録音したらしいが諸事情によりオクラ入りしていた。
当時、このライブをラジオ中継もされていたので、その音源を録音したものがブートレグとして数多く流通していた。
私もなかり前だが西新宿のブート屋で確か3700円で購入した記憶がある。
そして94年に突如、ボウイとはそれまで縁がなかったはずのテイチクから発売されたのだった。
これが私が持っている94年盤CDの当時のジャケット。

完成前のジギー・スターダストライブ
この『ライブ・サンタモニカ1972』は、1973年のジギー・スターダスト・ザ・モーション・ピクチャーに比べると時期が早いためにまだ未完成な手探り感があり初期のジギー・スターダストツアーの貴重な音源となっている。
ただし音はブートレグに比べればマシと言う程度で演奏も手直しや付け足しは、ほぼしてない感じで結構ラフ。
そんな中、際立つのはボウイの歌のうまさと声の伸び。
1973年のライブと比べるとツアーの初期なのであまり崩さずに素直に歌っていて音程にも安定感があり、卓越した表現力でグイグイ聴衆を引き込んでいく様子がうかがえる。
デヴィッド・ボウイという人は、ライブで全力で熱唱するタイプじゃなく良い意味で手を抜く人だけど、やっぱりこのライブでもそこそこに手を抜いて歌っている。
なのでアルバム・ジギー・スターダスト でのエキセントリックでノリノリな感じを期待すると肩透かしを喰うかも知れない。
演奏とバンド編成は非常にシンプルでスパイダーズのみで構成され『Space Oddity』などを演奏したアコースティックコーナーでは、当時の写真を見るとどうやらミック・ロンソンと2人で椅子に座って演奏していたらしい。
これが徐々にツアー後半に進むにつれロック色が強くなりバンドサウンドに変化していく。
印象的なのはミック・ロンソンのギターとコーラスの存在感。
最初ロンソンのコーラスを聴いた時はボウイが収録後にて録音し直したのかな?って思うほどボウイの声とマッチしていた。
ボウイの声の影武者としても相性はピッタリだった。
アルバム総評
『John, I’m Only Dancing』の手前で思い切りハウリングが入ってしまったり、ミック・ロンソンのギターのチューニングがちょっと怪しかったり生々しさという点ではボウイのライブアルバム中でも一番の内容。
ノイズだらけのブートレグを購入した当時は、オフィシャルで遥かに良い音源がそれよりも安い値段でネットで簡単に購入できてしまうなんてまるで考えられなかった。
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