デヴィッド・ボウイの軌跡を辿るボックス・セット・シリーズ第五弾のタイトルは、『ブリリアント・アドヴェンチャー』。
日本版はライナーノーツや貴重な写真を多数掲載した全128ページのハードカヴァー・ブック付き完全生産限定盤。
90年代から2001年までのボックスセット
ボウイが低迷期を脱出するきっかけとなったソロ復帰作の『ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ』から始まり、幻の未発表アルバムだった『トイ』までの期間のリマスターされた全アルバムと映画のサントラに提供した楽曲、アルバム未収録曲などをまとめたコンピレーション・アルバムを合わせたボックスセットCD11枚セット。
今回の『ブリリアント・アドヴェンチャー』ではレア曲を集めたリコールが3枚分あるのが大きな特徴と言える。
このシリーズもついに第五弾でこれで最後? と思ったら2001年までだからまだ1回分あるんだな。
個人的には今回の90年以降のアルバムというのは、この頃からやっとリアルタイムで聴いてきた時代なので当時の思い入れも多少なりともある。
それにしても、こんな高い日本盤ボックスシリーズを5年間ずっと買い続けているファンって日本に何人くらいいるのだろう?
やっぱり11枚のボックスはずっしりと重い。
今回も紙ジャケ仕様でその中に保存用ケースが付属。
そして日本盤にはブライアン・イーノやナイル・ロジャーズのレコーディング裏話的なインタビューの翻訳や日本語での歌詞が付いたブックレットが付属している。
ディスク1: ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ (2021リマスター)
7年ぶりに発表されたソロアルバムで復活を印象付けたアルバムのリマスター盤。
ディスク2: 郊外のブッダ (2021リマスター)
発売当時、日本盤としては発売されなかったアルバム『ブッダ・オブ・サバービア(邦題:郊外のブッダ)』のリマスター盤。
輸入盤でしか入手できなかったので聴いていなかったファンもいるのでは?
ディスク3: アウトサイド(2021リマスター)
95年に発表された猟奇殺人をテーマにした近未来サイコ・サスペンス仕立てのかなり攻めたアルバムのリマスター盤。
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ディスク4: アースリング(2021リマスター)
ジャングルを取り入れて話題になった98年のアルバムのリマスター盤。
ディスク5: アワーズ…(2021リマスター)
原点回帰で過去を見直した初めてのアルバムで『トイ』の先駆け的な位置づけ?のリマスター盤。
今回の『ブリリアント・アドヴェンチャー』というタイトルは、このアルバムに収録されたインストゥルメンタル曲から。
ディスク6 & 7: BBCラジオ・シアター、ロンドン、2000年6月27日
2000年9月に発売された限定盤3枚組アルバム『Bowie At The Beeb』の3枚目に収録されていた2000年6月27日にロンドンにあるBBCレディオ・シアター(Bbc Radio Theatre)で行なわれたライブ音源の5曲を追加した拡大版。
ノーカットではなくMCと『ジギー・スターダスト』が残念ながらカットされている。
このライブ盤の内容は個別でレビュー予定。
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ディスク8: トイ
2001年にリリースされる予定だったが、発売中止となりオクラ入りとなっていた幻のアルバムで今回の目玉ディスク。
こちらですでにレビュー済み。
ディスク9: リ・コール5 CD1
- Real Cool World (Sounds From The Cool World Soundtrack Version) / リアル・クール・ワールド
- Jump They Say (7” version) / ジャンプ・ゼイ・セイ(7“ヴァージョン)
- Lucy Can’t Dance / ルーシー・キャント・ダンス
- Black Tie White Noise (feat Al B. Sure!) (Radio Edit) / ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ(ラジオ・エディット)
- Don’t Let Me Down & Down (Indonesian Vocal Version) / ドント・レット・ミー・ダウン&ダウン(インドネシアン・ヴォーカル・ヴァージョン)
- Buddha Of Suburbia (Single Version) (featuring Lenny Kravitz on guitar) / 郊外のブッダ(シングル・ヴァージョン)
- The Hearts Filthy Lesson (Radio Edit) / ハーツ・フィルシー・レッスン(ラジオ・エディット)
- Nothing To Be Desired / ナッシング・トゥ・ビー・デザイアード
- Strangers When We Meet (edit) / ストレンジャーズ・ホエン・ウィ・ミート(エディット)
- Get Real / ゲット・リアル
- The Man Who Sold The World (Live Eno Mix) / 世界を売った男(ライヴ・イーノ・ミックス)
- I’m Afraid Of Americans (Showgirls Soundtrack Version) / アイム・アフレイド・オブ・アメリカンズ(ショーガール・サウンドトラック・ヴァージョン)
- Hallo Spaceboy (Remix) / ハロー・スペースボーイ(リミックス)
- I Am With Name (Alternative Version) / アイ・アム・ウィズ・ネイム(オルタナティヴ・ヴァージョン)
- A Small Plot Of Land (Long Basquiat Soundtrack Version) / 一片の土地(ロング・バスキア・サウンドトラック・ヴァージョン
これまでのボックスセットと同様にシングルヴァージョンや映画のサントラ収録曲、他アーディストへの提供曲やアルバム未収録曲を集めたアルバムの1枚目。
これまでサントラでしか聴く事ができなかった『リアル・クール・ワールド』が収録されている。
この1曲のために『クール・ワールド』のサントラ買ったもんなー。
ほとんど聴こえなかったトラックまで丁寧に拾われていてメチャクチャ音良くなってたので驚いた。
『ルーシー・キャント・ダンス』は、確か『ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ』リリース当時に日本盤のみボーナストラックとしてラストに収録されていた曲。
『ドント・レット・ミー・ダウン&ダウン(インドネシアン・ヴォーカル・ヴァージョン)』は、途中で英語になっちゃうけどかなりレア度が高い。
時々ボウイはアジア向けにも現地語でレコーディングをしてたから油断できない。
『ナッシング・トゥ・ビー・デザイアード』は、まったく聴いた事がなかった何の曲だろう?
『ハロー・スペースボーイ(リミックス)』は、シングルのカップリングで発表されたペット・ショップ・ボーイズバージョン。
『アイム・アフレイド・オブ・アメリカンズ(ショーガール・サウンドトラック・ヴァージョン)』もサントラ向けにかなりアレンジしたバージョンだし、『A Small Plot Of Land (Long Basquiat Soundtrack Version) / 一片の土地(ロング・バスキア・サウンドトラック・ヴァージョン)』もサントラでしか聴けなかったので地味にうれしい選曲だ。
ディスク10: リコール CD2
- Little Wonder (Edit) / リトル・ワンダー(エディット)
- A Fleeting Moment (aka Severn Years In Tibet – Mandarin Version) / ア・フリーティング・モーメント(aka セヴン・イヤーズ・イン・チベット マンダリン・ヴァージョン)
- Dead Man Walking (Edit) / デッド・マン・ウォーキング(エディット)
- Seven Years In Tibet (Edit) / セヴン・イヤーズ・イン・チベット(エディット)
- Planet Of Dreams – David Bowie and Gail Ann Dorsey / プラネット・オブ・ドリームス
- I’m Afraid Of Americans (V1 – Edit) / アイム・アフレイド・オブ・アメリカンズ(V1エディット)
- I Can’t Read (The Ice Storm Long Version) / アイ・キャント・リード(ジ・アイス・ストーム・ロング・ヴァージョン)
- A Foggy Day In London Town – David Bowie and Angelo Badalamenti / ア・フォギー・デイ・イン・ロンドン・タウン
- Fun (BowieNet Mix) / ファン(ボウイネット・ミックス)
- The Pretty Things Are Going To Hell (Stigmata Soundtrack Version)/ プリティ・シングス・アー・ゴーイング・トゥ・ヘル(スティグマータ・サウンドトラック・ヴァージョン)
- Thursday’s Child (Radio Edit) / サーズデイズ・チャイルド(ラジオ・エディット)
- We All Go Through / ウィ・オール・ゴー・スルー
- No One Calls / ノー・ワン・コールズ)
オリジナル・アルバム未収録曲でベースのゲイルとデュエットした『プラネット・オブ・ドリームス』もかなりレア。
映画作曲家のアンジェロ・バダラメンティとのコラボ曲、『ア・フォギー・デイ・イン・ロンドン・タウン』は、オーケストラをバックにテンポ・ダウンしたアレンジが効いているカバー曲。
『ファン』は、ボウイネット限定で公開されたバージョン。
後半3曲は、『アワーズ(Expanded Edition)』に収録されていた楽曲。
ディスク11: リコール CD3
- We Shall Go To Town / ウィ・シャル・ゴー・トゥ・タウン
- 1917 / 1917
- The Pretty Things Are Going To Hell (Edit) / プリティ・シングス・アー・ゴーイング・トゥ・ヘル(エディット)
- Thursday’s Child (Omikron: The Nomad Soul Version) / サーズデイズ・チャイルド(オミクロン:ザ・ノマド・ソウル・ヴァージョン)
- New Angels Of Promise (Omikron: The Nomad Soul Version) / ニュー・エンジェルズ・オブ・プロミス(オミクロン:ザ・ノマド・ソウル・ヴァージョン)
- The Dreamers (Omikron: The Nomad Soul Version) / ザ・ドリーマーズ(オミクロン:ザ・ノマド・ソウル・ヴァージョン)
- Seven (Demo) / セヴン(デモ)
- Survive (Marius De Vries mix) / サヴァイヴ(マリウス・デ・フリース・ミックス)
- Something In The Air (American Psycho Remix) / サムシング・イン・ジ・エアー(アメリカン・サイコ・リミックス)
- Seven (Marius De Vries Mix) / セヴン(マリウス・デ・フリース・ミックス)
- Pictures Of Lily / ピクチャーズ・オブ・リリー
ほとんどの曲がミックスのバージョン違いだが、ボウイ自身がキャラクターとしても登場するゲーム『オミクロン:ザ・ノマド・ソウル(Omikron: The Nomad Soul)』のサントラバージョンが聴けるのは結構貴重かも。
かなりレアなのは『セブン』のデモバージョンくらいか。
それと『セヴン(マリウス・デ・フリース・ミックス)』は、オリジナルよりこっちのほうが良いんじゃないかと思うほどだった。
ザ・フーのカバー曲『ピクチャーズ・オブ・リリー』も収録。
総評
今回のライナーノーツは、これまでに比べると写真は少ないが、関係者の貴重なインタビューが多数あり、やはり資料的な価値は十分にある。
だから日本盤のほうが5000円ほど高いけど、やっぱりこっちを買っちゃう。
逆に純粋に音楽だけを聴きたいのであれば輸入盤で十分。
リコールの3枚は、サントラバージョンやアルバム未収録曲も多く、今回も聴いた事がないバージョンや曲がいくつかあった。
気軽に買えるアイテムではないので購入には覚悟がいるが、今回も買ってみて後悔はない。
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