デヴィッド・ボウイ『最初の5年間』と『最後の5年間』

David Bowie

デヴィッド・ボウイを語るうえで外せない曲のひとつが代表作であるアルバム『ジギー・スターダスト』に収録された『5年間』だ。

オープニングのこの楽曲でボウイは、淡々としたバンド演奏とは対照的にあと5年間しかないと叫び続けてアルバムは幕を開ける。

この楽曲のタイトルを元にボウイの死後にイギリスの国営放送であるBBCが制作した番組がデヴィッド・ボウイ最初の5年間と最後の5年間だ。

ボウイの生い立ちから成功までの最初の5年間と最後までの5年間の各90分ずつの長編映像となっている。

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最初の5年間

デヴィッド・ボウイ最初の5年間

前半は生い立ちからまだ世に出る前の60年代の活動を当時のバンドメンバーとボウイ自身のコメントを中心にまとめている。

だから全然5年間じゃない。

何をやっても売れずにもがいていた若き日のボウイから初のヒット曲であるスペイス・オディティ、そしてジギー・スターダストで成功してバンドが解散するまでのサクセス・ストーリーだ。

この中で最も注目に値するのが、名前は聞いていたけどほとんど情報がなかった元婚約者のヘルミオーネ本人がインタビューに答えている場面だ。

この中で彼女はこうコメントしている。

私も一生デヴィッドと一緒にいることは考えられなかった。

彼が向かう所へ私もついて行くつもりはなかった。

そして、ヘルミオーネは『ソング・オブ・ノルウェー』という映画に抜擢された事をきっかけに、そこで出会ったダンサーと恋に落ちてあっさりとボウイの元を去ったのだった。

ボウイは彼女との別れが辛過ぎてアルバム『スペイス・オディティ』に収録された『ヘルミオーネへの手紙』という楽曲を創ってしまったほどだった。

実際にヘルミオーネからもらった手紙は、ボウイは生涯ずっと捨てられずに持っていたほど思い入れがあったようだ。

だが、この別れがなかったらその後のボウイの成功はなかったような気がしてならない。

実際にその直後にヒット曲『スペイス・オディティ』が生まれてボウイはスターになるきっかけをつかんだ。

この曲をなんでトニー・ヴィスコンティがプロデュースしていないのかも謎だったが、初めてデモテープを聴いた時に気に入らず弟子のガス・ダッジョンに「君がやれ」と譲っていた事も分かった。

他にも従姉のコメントから家族に精神異常者が多いというのもボウイの虚言だという事が分かったりした。

ジギー時代にはあまり触れずに73年のジギースターダスト・ツアーの最終公演で前半分である『最初の5年間』は終わる。

最後の5年間

デヴィッド・ボウイ最初の5年間

やはり後半の『最後の5年間』も『最初の5年間』と同様に5年間ではなくはだいぶ前の2003年のリアリティ・ツアーから始まる。

長年のツアーメンバーであるギターのアール・スリックによるとこのツアーでのボウイはそれまでと違ってオープンで接しやすかったそうだ。

それはツアーの内容にも現れていて実際に私も観に行ったが、それまでの張りつめた緊張感のあるツアーとは違ってリラックスしたムードに包まれていてボウイの声も良く出ていて調子は良さそうだった。

ただそれと同時にもう現役のアーティストとは言えない普通の安定したベテランの風情も感じたのも確かだった。

そんな絶好調に思えたリアリティ・ツアーの後半から突然の心臓発作になってしまう。

これまで未公開だった当時のツアーメンバーがボウイの体調の悪化の様子を語るパートは見ていてるだけで気分が曇ってくる。

そして、体調不良になってからボウイは表舞台から遠ざかり、『ザ・ネクスト・デイ』でアルバムを発表してカムバックするのはその10年後の事だった。

この時期からボウイはインタビューにも応じず、メディアにも登場せず、ツアーも行わなかったので周りの人達のコメントはさらに貴重な情報となってくる。

当時のレコーディングメンバーとヴィスコンティが収録曲を演奏しながら当時を懐かしむ場面はちょっと切なくなる。

ラストアルバムになった『ブラック・スター』で普通の大物ミュージシャンなら、今までの馴染のあるメンバーで締めくくりたいと思うところをジャズの若手たちと新しいサウンドを模索したのがいかにもボウイらしい。

最後のPVとなった『ラザルス』ではヴィスコンティいわくボウイはいわゆるゾーンに入っていたらしい。

確かにこの曲でのボウイの演技は危機迫るものがあり、最後の場面で棺桶のふたのようにクローゼットの扉の中に納まる姿が実に印象的だった。

デヴィッド・ボウイとHSP

ここまで最初の5年間と最後の5年間の映像を見てきて気付いたのは、デヴィッド・ボウイは最近話題になる事が多くなりつつあるHSPである可能性が高いという事だった。

HSP(Highly Sensitive Person)は「ハイリー・センシティブ・パーソン」の略で極度に繊細な人たちという意味。

私もこの言葉を知ったのは最近だが、この本を読んで自分がそうだと知ってこれまでなぜ生きにくかったのかがすごく納得がいった。

ボウイにはヘルミオーネとの別れの傷付きよう、子供の頃に家族に気を使っていたエピソード、70年代にジギー等のキャラクターというペルソナがなければ自己表現できなかった点などHSP的な面が多くある。

HSPは人類の20%が該当するというが、ボウイは無意識にその少数派である20%向けの人達に曲を作っていたのかも知れない。

だからこそ名前の割には楽曲が売れてなくても、刺さった人は熱狂的なファンになったのかな。

視聴方法

この映像作品は、Amazonプライムの特典のひとつ、プライム・ビデオの動画なのでプライム会員なら誰でも無料で視聴可能になっている。

2022年12月時点、視聴可能~終了時期未定

その他にもボウイ関連だと主題歌を歌ってチョイ役で出演してる映画の『ビギナーズ』や『戦場のメリークリスマス』が視聴可能になっている。

プライム・ミュージックでは、なぜかベルリン時代と『スケアリー・モンスターズ』が抜けちゃってるのが残念だけど大体の代表的なアルバムが無料で聴ける。

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