デヴィッド・ボウイ/トイ(David Bowie/Toy)

2022年1月20日

デヴィッド・ボウイ/トイ

本来なら2001年にリリースされるはずだったが、60年代の埋もれた曲のリメーク+新曲という構成に所属レーベルのヴァージンが発売に難色を示した為に発売中止になったデヴィッド・ボウイの幻のアルバムがこの『トイ(Toy)』。

これまでブートで出回っていたが、ついに2022年にオフィシャルリリースされた。

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目次

60年代の楽曲+新曲という構成

インダストリアル路線から原点回帰を図ろうとしたボウイは、過去の自らの楽曲に目を向けた。

そしてそれは自らのゴールデンイヤーズである70年代ではなく、自分がまだ注目されていなかった60年代に向かった。

かつての神経質で風変わりなフォーク歌手を今までの自分の経験と技術を駆使して当時のロック的に蘇えらそうとしていた。
そしてそれらの曲に数曲の新曲を加えたアルバム、それがこの『Toy』だった。

ところが、当時の所属レコード会社、ヴァージンが発売をOKしなかった為にアルバムプロジェクトは宙に浮き、お蔵入りになってしまった。

仕方なくボウイはヴァージンに見切りをつけ、新たなレーベルから新曲を中心としたアルバムの『ヒーザン』を製作する事になった。

14曲の収録トラックのうち新曲(この当時)5曲はアルバム『ヒーザン(Heathen)』とシングルのカップリングで発表済み。

その他の曲は60年代に何らかの形で発表されており、流出した時点で全くの未発表曲は『Hole In The Ground』のみ。

『You’ve Got A Habit Of Leaving』と『Liza Jane』はなんとデビュー当時の1965年デイヴィー・ジョーンズ時代のシングル曲。
よくこんな古い曲をやり直す気になったもんだと思うけどやっぱり思い入れあったんだろうなぁ。

あの頃は売れなかったけど今アレンジしたらこんなにカッコ良くなるんだぜ!的な思いもあったのだろう。

1964年のデビュー曲であるデヴィー・ジョーンズ・アンド・ザ・キング・ビーズ時代の『Liza Jane』オリジナル・バージョンは、ベストアルバムやオムニバスの『ザ・モッズ・シーン2』に収録されている。

『You’ve Got a Habit Of Leaving』と『Baby Loves That Way』は、ザ・マニッシュ・ボーイズ時代のシングル曲。

『Can’t Help Thinking About Me』は、デヴィッド・ボウイに改名してからの第1弾シングル。

オフィシャル盤オープニング曲の『I Dig Everything』は、バンドを離れソロとして活動しだした頃の6枚目のシングル曲。

『カンヴァセーション・ピース(Conversation Piece)』は、ボックスセットのタイトルにもなったアルバム『スペイス・オディティ』収録曲。

バンドメンバー
  • デヴィッド・ボウイ(Vo,Gt)
  • アール・スリック(Gt)
  • スターリング・キャンベル(Dr)
  • ゲイル・アン・ドロシー(Ba)
  • マイク・ガーソン(Key)
  • ホリー・パーマー&エム・グライナー(Cho)

『トイ』というアルバムは、喜びや燃え盛る炎、エネルギーを琥珀の中に捉えた瞬間のような作品です。

音楽を演奏することに喜びを感じている人々のサウンドがここにあるのです。

デヴィッドは数十年前の自身の作品を、今までの経験値と新鮮な視点から再検討していました。

20年経った今、私も再びこの作品に立ち戻っているのですから、同じ意味を持っているんでしょう。彼はよく、『マーク、これは僕たちのアルバムだよ』って言っていました。

昔の楽曲を再び掘り下げるこの旅路において、私は彼と共に深くのめり込んでいっていたのを知っていたんでしょうね。

ようやくこのアルバムが、私たち全員のものだ、と言えるようになることを非常に嬉しく思っています」

マーク・プラティ(プロデューサー)

以前流通していたブート盤

1.Uncle Floyd (Slip Away)
2.Afraid
3.Baby Loves That Way
4.I Dig Everything
5.Conversation Piece
6.Let Me Sleep Beside You
7.Toy (Your Turn To Drive)
8.Hole In The Ground
9.Shadow Man
10.In The Heat Of The Morning
11.You’ve Got a Habit Of Leaving
12.Silly Boy Blue
13.Liza Jane
14.The London Boys

2022年にオフィシャルで正式にリリースされるまでは、Amazonなどの販売サイトでこの『TOY』のCDを探しても見つからなかった。

要するにブートレグってヤツだけど、1度はボウイがアルバムとしてリリースしようとしていたから、このままお蔵入りってのはあまりにも惜しい内容ではあった。

1曲目『Uncle Floyd』は、会話部分が長く実際の演奏は1分30秒頃からスタート。
後に『Slip Away』として改題されアルバム『Heathen』に収録。

タイトル曲である『Toy』は、『Your Turn To Drive』とサブタイトル(改題?)が付けられた。

この『Toy』は長くファンの間で幻のアルバムとして噂にはなっていたが、2011年に突如、ネット上に流失した。

一説によると本作『Toy』をネット上に流出させたのは『Toy』のブートレグが高額で取引して金儲けをしているのが我慢ならなかった熱狂的なボウイファンで、自ら持っていた音源をアップロードしたのだとか。

おかげで多くのボウイファンにとっては「夢が叶った」のだった。

オフィシャル盤

M-1 I Dig Everything
M-2 You’ve Got A Habit of Leaving
M-3 The London Boys
M-4 Karma Man
M-5 Conversation Piece
M-6 Shadow Man
M-7 Let Me Sleep Beside You
M-8 Hole In The Ground
M-9 Baby Loves That Way
M-10 Can’t Help Thinking About Me
M-11 Silly Boy Blue
M-12 Toy (Your Turn To Drive)

発売予定から21年後についにボウイの全楽曲を買い取ることになったワーナー・ミュージックより発売され日の目を見る事になったこのアルバム。
日本語のタイトルは『トーイ』じゃなく『トイ』に訂正されていた。

確かに実際の英語の発音から言うと『トイ』のほうが近いからなのだろう。

以前はブート音源がYouTubeでもチャプターごとに分けられていて全曲フルで聴けたが、2020年代になってから音源が削除されるようになってきて「あれ?」って思ってから実はこのオフィシャル盤が発売される準備だった訳だ。

『トイ』単独でもBOXセットで発売されているが、私は『ブリリアント・アドヴェンチャー』という11枚組のBOXセットのディスク8として収録されているCDで聴いてみた。

CDでは2022年の時点で『トイ』は、『ブリリアント・アドヴェンチャー』か 『トイ・ボックス』を購入しないと入手できないようだ。

『ブリリアント・アドヴェンチャー』のレビューに関しては次回って事で今回はこの『トイ』単独に絞ってレビューしたい。

デヴィッド・ボウイ/トイ(オフィシャル盤)

ジャケットデザインは、90年代後半以降のボウイはこんな感じが好きだったからなのかなって感じ。

アルバムを聴いてまず驚いたのが、ブート盤との明らかな音質の違い。
もちろんオフィシャルのほうが良いのは分かっていたけど、意外にブートのほうが音は悪くても迫力があったりするケースもあるから気になっていた。

トイ』に関しては、音質がかなり向上しているのがハッキリと分かる。

ボウイのヴォーカルのクリアさはもとより、演奏の音の抜けと粒、立体感がまったく比べ物にならないほど違っている。

特にコーラスの声やストリングス、ブートでは聴き取りにくかったアコギの音やドラムのハイハットまでハッキリと分離して聴きとれる。

曲順は、イントロ的な位置づけの『Uncle Floyd (Slip Away)』がカットになり、ブートではラストだった『The London Boys』が3曲目になったりと変更があるが、収録曲の追加はなく、新曲もない。

しかし、ここまでクリアな音源で聴けるのはうれしい限りでもともとの楽曲のレベルの高さを新鮮な気持ちで再確認できた。

Toy: Box

『Toy: Box』として3枚組CDで発売されたスペシャル・エディション。

ディスク1は先ほど紹介した本編、ディスク2はオルタナティブミックス、ディスク3はアコースティック曲中心という構成。

・DISC2
M-1 Liza Jane
M-2 You’ve Got A Habit of Leaving (Alternative Mix)
M-3 Baby Loves That Way (Alternative Mix)
M-4 Can’t Help Thinking About Me (Alternative Mix)
M-5 I Dig Everything (Alternative Mix) / アイ・ディグ・エヴリシング
M-6 The London Boys (Alternative Mix) / ロンドン・ボーイズ
M-7 Silly Boy Blue (Tibet Version) / 愚かな少年
M-8 Let Me Sleep Beside You (Alternative Mix)
M-9 In The Heat Of The Morning
M-10 Conversation Piece (Alternative Mix)
M-11 Hole In The Ground (Alternative Mix) 
M-12 Shadow Man (Alternative Mix)
M-13 Toy (Your Turn To Drive) (Alternative Mix) 

・DISC3
M-1 In The Heat Of The Morning
M-2 I Dig Everything
M-3 You’ve Got A Habit of Leaving
M-4 The London Boys
M-5 Karma Man
M-6 Conversation Piece
M-7 Shadow Man
M-8 Let Me Sleep Beside You
M-9 Hole In The Ground
M-10 Baby Loves That Way
M-11 Can’t Help Thinking About Me
M-12 Silly Boy Blue
M-13 Toy (Your Turn To Drive) 

アルバム総評

最初は地味だなと思ったけど聴けば聴くほど味が出てくるアルバム。

このアルバムの正式リリースは天国のボウイからすると不本意なのかも知れないが、やっぱりせっかく製作されたアルバムなのだからずっとお蔵入りしているよりも少しでも多くの人に聴かれたほうが報われる気がする。

すでにネット上に流失していたブート盤を何度も聴いていたけど、オフィシャル盤を改めて聴いてみてボウイのニューアルバムを聴いているかのような感動があった。

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Nest⇒heathen(2002年)

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David Bowie

Posted by nasumayo