ブッダ・オブ・サバービア(The Buddha of Suburbia)は、デヴィッド・ボウイが『アウトサイド』を発表前にひっそりと製作されたサウンドトラックという隠れみのによる実はれっきとしたオリジナルアルバム。
従って『アウトサイド』の前にくるオリジナルアルバムと言える。
日本では未発売でいまだに輸入盤でしか入手できないのでこのアルバムの一般的な知名度はかなり低い。
- Buddha of Suburbia
- Sex and the Church
- South Horizon
- Mysteries
- Bleed Like a Craze, Dad
- Strangers When We Meet
- Dead Against It
- Ian Fish, U.K. Heir
- Buddha of Suburbia [Version]
肩の力が抜けた?90年代の隠れ名盤
元々はハニフ・クレイシによる小説「郊外のブッダ」のドラマ版のサウンドトラックとしてBBCがボウイに楽曲提供を依頼してきたのがきっかけでこのブッダ・オブ・サバービアが製作された。
実はこのアルバムの楽曲は1曲しかドラマには使われていないのだった。
タイトル曲は『ブッダ・オブ・サバービア』だけど、それもこのアルバムのために作り変えたものだし、その他の楽曲は勝手にボウイがドラマのイメージを膨らませて出来上がった全くのオリジナル楽曲によるもので、たった6日間でレコーディングされた。
それにしても、この『ブッダ・オブ・サバービア』の輸入盤CDを初めて手にした時は愕然とした。
ちゃんとしたプレスしたCDではなくCD-Rだったのだ。
そういや何?この取ってつけた様なデヴィッド・ボウイのジャケット写真は?
最初に発売された頃はドラマの写真を使っていたけど混乱を招くのを恐れてか(だってこのアルバム買うのってやっぱボウイファンでしょ?)再発の際に差し替えたみたいだ。
なんと自前のミニコンポでは音飛びがしてしまうためパソコンでCD-Rに焼き直して聴いている。
まるでブートレグみたいな品質だった。。・゚・(ノД`)・゚・。
気を取り直して、さてまずはタイトル曲『ブッダ・オブ・サバービア』から。
妙に力が抜けているリラックスした中にもボウイらしさがあふれる楽曲。
驚くべきは曲の間奏で過去の名曲『オール・ザ・マッドマン』(世界を売った男に収録)と『スペイス・オディティ』のパロディ(オマージュ?)が入っているところ。
この頃のボウイは自分のコピーをしなけりゃいけないほど追い詰められていたのか?はたまたオトナの余裕か?
その後はインストロメンタルが続くけどロウやヒーローズみたいな重苦しい展開じゃないので気楽に聴ける。
ちょっと意外な曲調なのが『Mysteries』でこの曲は完全にヒーリングニュージックのアルバムに入っていても違和感がないような楽曲。
『Bleed Like a Craze, Dad』からはボウイの歌が復活、そして『アウトサイド』の最後に収録されている『ストレンジャーズ・ホエン・ウィ・ミート(Strangers When We Meet)』のバージョン違いも収録されている。
アレンジだけでなくヴォーカルも取り直しているみたいでこっちのヴァージョンの方が硬さがとれてアレンジのギター・カッティングもカッコいい。
『Dead Against It』はTVゲームのサントラみたいなチープなシンセが良い味だしてる80年代エレポップ風。
今までのボウイにはあまりなかったタイプのオリエンタル風なアレンジが光る『Ian Fish, U.K. Heir』までのスムーズな流れはこの時期ならではの良い意味の緊張感のないリラックスした展開。
アルバム総評
6日間という短期間で『ブッダ・オブ・サバービア』をレコーディングできたのはボウイが好調の証と言える。
『レッツ・ダンス』以降にアルバムを発表される度に言われてきた『スケアリー・モンスターズ』以来の傑作アルバムというのは実はこのアルバムなのでは!?とさえ思えてくる。
他のデヴィッド・ボウイのどのアルバムとも似ていない異色のアルバム。
Next⇒アウトサイド (1995年)
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コメント
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アウトサイドの後ではなく、アウトサイドの前に発表されたはずです。 ジャケットの写真はアウトサイド期あたりのボウイですが。
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本当だ!記述ミスですね。訂正しました。指摘ありがとうございます。