デヴィッド・ボウイ/アースリング(David Bowie/Earthling)

2019年8月5日

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アルバム発表当時に流行していたドラムンベース(ボウイはジャングルと呼んでいた)を大胆にロックに取り入れた意欲作。
頭でっかちなコンセプトはどっかに忘れて新しいものに飛びつくフットワークの軽さとわかりやすさが戻ってきたアルバム。

1. リトル・ワンダー
2. ルッキング・フォー・サテライト
3. バトル・フォー・ブリティン
4. セヴン・イヤーズ・イン・チベット
5. デッド・マン・ウォーキング
6. テリング・ライズ
7. ラスト・シング・ユー・シュッド・ドゥ
8. アイム・アフレイド・オブ・アメリカンズ
9. ロウ
10. テリング・ライズ(アダム・F・ミックス)

タイトルであるアースリング(Earthling)は、『地球人』を意味する。
これは以前から何度もテーマにした『宇宙人』の正反対の言葉でボウイの事実上の人間宣言とも言えるだろう。

時は21世紀を目前にした98年、『アースリング』は同時期に発表されたU2の『POP』と良く比較されていた。
やっぱり世紀末にデジタル的なサウンドに近づくのは自然の流れなのかも知れない。

ドラムンベースと言ってもバンドサウンドの生音との混合ビートで完全なデジタルビートではないのが『アースリング』のユニークなところ。
とはいってもドラムンベースのリズムを取り入れた曲はアルバム収録曲の半分もない。

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目次

アルバムを牽引するシングル曲

つまりアースリングはドラムンベースをロックに部分的に組み込んだアルバムであって決してドラムンベースがメインのアルバムではない。

シングル曲、『リトル・ワンダー』は見事にそれを表現した楽曲でPVではデヴィッド・ボウイが演じた『ジギー・スターダスト』や『シン・ホワイト・デューク』などの過去のキャラクターが登場して話題になった。

スリリングで退屈しないこの曲はデヴィッド・ボウイのシングル曲の中でもトップ10に入る出来だろう。
しかし『ルッキング・フォー・サテライト』は恐ろしく退屈な曲になってしまっている。

これはAメロしかないためでおそらくアイディアがここまでしか出てこなかったのでそのままレコーディングしてしまった感がある。
以前はなんらかの仕掛けがあったボウイの楽曲もこれ以降、この『Aメロのみの退屈パターン』が増えていくことになる。

アルバムのかなりの部分で当時の右腕だったギタリスト、リーブス・ガブレルスのノイジーなギターが暴れているが、それに大分ごまかされている気もしてくる。

その中で強力なのがやはりシングルになった『デッド・マン・ウォーキング』。
デジタルサウンドになっているのでわかりにくいが、この曲のベースパターンはどこかで聴いたことがないだろうか?

アルバム『世界を売った男』に収録されている『スーパーメン』のリフとまったく同じだ。

それをうまいこと流用してまったく別の曲に仕上げている。
これも90年代のデヴィッド・ボウイを代表する名曲だと思う。

正直言ってこのシングル2曲以外はあまりパッとしない気がする。
音楽性は別にしてアルバムの出来の印象としては『レッツ・ダンス』に近いかも知れない。

他の人のレビューでも『アースリング』は違うだろうとか、あれは受け入れられないと言う意見は良く聞く。
しかしそれは『グラムロック時代』だったり『ベルリン時代』だったりある一定の時期のデヴィッド・ボウイが好きだった人の意見なんだと思う。

新しくて面白そうなものにサッと飛びつく節操のなさ、フットワークの軽さ、こだわりの無さこそデヴィッド・ボウイの面目躍如であり『アースリング』は実にデヴィッド・ボウイらしいアルバムだと思う。
『アースリング』は短時間で勢いで製作されたので作品に深みは感じられない。

しかし当時50歳の地位も名声もあるベテランミュージシャンが発表するにはあまりも冒険心にあふれている。
その辺はもうちょっと評価されてもいいんじゃないかなと。

Live At 50Th Birthday

最後にこのアルバムの発表時期にニューヨークで行われたボウイ自身の50歳を祝うバースデーコンサートは、ルー・リード、ビリー・コーガン、フーファイターズ、ソニック・ユース等の超豪華なゲストが参加して行われた。

ここでのボウイは90年代前半までの低迷が嘘のように実にカッコ良かった。
当時、このライブを観て「ああボウイはついに復活したんだな」と感じた。


iTunes試聴&ダウンロード
Earthling (Expanded Edition)
デヴィッド・ボウイ

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アースリング収録曲の動画

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