ロキシー・ミュージックのラストアルバムであり、全英1位を獲得し有終の美を飾った一般的に最高傑作とさせるアルバム。
非の打ち所のないプロフェッショナルなサウンドは、素人が好き勝手やっていたデビュー時と比べて隔絶の感がある。
アルバムタイトルの『アヴァロン』とはケルト神話に登場する伝説の極楽鳥の事。
- モア・ザン・ディス
- ザ・スペース・ビトゥイーン
- アヴァロン
- インディア
- ホワイル・マイ・ハート・イズ・スティル・ビーティング
- ザ・メイン・シング
- テイク・ア・チャンス・ウィズ・ミー
- トゥ・ターン・ユー・オン
- トゥルー・トゥ・ライフ
- タラ
有終の美を飾るラストアルバム
この『アヴァロン』というアルバムの感想と言えばまず出てくるのが音質が良いという意見。
たしかにリアルタイムにLPで聴いた世代にはそうだったかもしれない。
ただデジタルサウンドが当たり前になっていた90年代以降に聴いた者の意見としてはその辺りが良く分からないというのが正直なところ。
90年代以降だとこのアルバムより音が良いアルバムなんてのは、すでに山ほどあった訳でいくらデジタルリマスターしたところで音の良さってのはピンとこないのでアルバムとしての評価には考慮しない事にする。
大体、ロキシーのアルバムってデビュー当時からその時代にしては音良かったしね。
確かに各曲のクオリティは高く、その点で言えばロキシー・ミュージックの最高傑作かも知れない。
だけど退屈さも全アルバムを通じてダントツだ。
完璧に近いサウンドには、初期のようなイレギュラーなノイズの入り込む隙は一切なくなった。
それが良いのか悪いのは意見が分かれる部分だろう。
ブライアン・フェリーのファルセットでオープニングを飾る『モア・ザン・ディス』は、キャッチーなポップソング。
2001年にはトヨタ『クルーガーV』のCMソングとして起用された。
アルバム中でも秀逸なのがアルバムタイトル曲の『アヴァロン』。
本当に神話の中の世界のような浮遊感のあるサウンドにフェリーのねちっこいヴォーカルが乗り、R&B風のコーラスが入る構成はフェリーのソロアルバムも含めてすでに完成形として出来上がっている。
『ザ・メイン・シング(The Main Thing)』などは、フェリーのソロ・アルバムに収録されていてもなんの違和感もない寸分の隙もないオシャレ・ダンス・ミュージックに仕上がりで、もはやフェリー以外のメンバーであるアンディ・マッケイとフィル・マンザネラの個性はないに等しい。
再結成後のロキシー・ミュージックは、音楽的な完成度と引き換えにメンバーの個性が死んでいくさまがありありと分かる。
そしてメンバーの技量ではこれ以上無理!ってくらいのレベルまで引き上げたのだから解散するのは必然だった。
ラストの『タラ』のアンディ・マッケイのサックスソロだけが唯一フェリー以外のメンバーの見せ所。
アルバム総評
『アヴァロン』これはロキシー・ミュージックのアルバムであってすでにロキシーではない。
最終的にブライアン・フェリーのソロ・アルバムと言える内容でロキシーミュージックの歴史は幕を閉じたのだった。
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