フライング・リザーズ/ミュージック・ファクトリー(The Flying Lizards)

80年代 ロック UK

パンクもニューウェーブも出尽くした1980年に発表されたデビット・カニンガムというアートスクール学生のソロ・プロジェクトがフライング・リザーズ
現在でも誰にも似ていない斬新でユニーク過ぎる音楽はインパクト大。全英60位。

  1. マンダレイ・ソング
  2. ハー・ストーリー
  3. TV
  4. ロシア
  5. サマータイム・ブルース
  6. マネー
  7. ザ・フラッド
  8. トラブル
  9. イベンツ・デュアリング・フラッド
  10. ザ・ウィンドウ
  11. オール・ギターズ
  12. チューブ
  13. マネー(シングル・エディット)
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元祖?ローファイ宅録ミュージシャン

北アイルランド出身の美術学校生だったデビット・カニンガムが、バンドメンバーなし、楽器なしの状態でテープ編集とその辺にあった空き缶や段ボールをドラム代わりに、エコーは風呂場で効かせてという風に自宅をスタジオ代わりにしてレコーディングされている。

オープニングを飾る『マンダレイ・ソング(Mandelay Song)』から調子っぱずれのドイツ語で歌われる女性のヴォーカルのまあヘタなこと・・・さらにぎこちないリズムに時々聴こえる鞭で叩くようなチープな金属音も何だか気になる。アルバム最初から凄まじいインパクトを放っている。

スネア代わりに何を使ってるんだろう?プラスティックの30cm定規を叩いてるような本物のドラムでは絶対出ないようなヘナヘナな音が良い味出してる。

『ハー・ストーリー(Her Story)』は変拍子に気味の悪いコーラスとディスコっぽいペースリフが妙な高揚感のある曲。

『TV』のアレンジはどことなくヴェルベット・アンダーグラウンドの影響を感じさせる曲。

エディ・コクランのカバー曲である『サマータイム・ブルース』(Summertime Blues)での最低限の骨組み意外は原型をとどめないほどのぶっ壊し方はお見事。

The Flying Lizards - Summertime Blues

同じくシングル曲になった『マネー』のサンプリング的手法のリズムと中盤のノイジーな展開は、まさしくベックが90年代に流行させたスタイルの先駆けと言える。

この実験的なサウンドで全英5位・全米34位のヒットしたのもちょっと信じられないくらいクール!

今だったらこの手の音はサンプリングで拾ったりするんだろうけど、自分でダンボール叩いてドラム音源にするっていうアナログな手作り感が味になっている。

The Flying Lizards - Money • TopPop

日本盤ライナーによるとライブは一切しないレコーディングのみのバンドって書いてあったのでこの動画は『マネー』PVかプロモーションの為のテレビ出演の映像だろうか。

アルバム総評

サンプリング的な手法はテープをループさせて録音させる等、シンセサイザーを使わずほぼすべてがアナログな楽器と手法によってレコーディングされている。

現代の自宅レコーディングでは当たり前になっているサンプリングマシーンもシンセサイザーもほとんど使わずアナログでコラージュされたユニークなサウンドは全編を通して自由すぎる!

通常、音楽がユニークになればなるほど聴きにくくなって万人には理解されなくなっていく。
独りよがりでもいいのなら「ユニークなだけ」の音楽を作るのは簡単だ。

それだけに実験性とポップさを兼ね揃えたフライング・リザーズのデビューアルバム、『ミュージック・ファクトリー』が発表から30年ほど経過しても日本盤が新品で入手可能だったというのは驚異的な事だ。

ベックが90年代にやってスゲエ!って言われた手法をすでに80年にやっている。
ただ時代の先を行きすぎて一部のカルト的な人気で終わってしまった。

元祖ローファイ、宅録ミュージシャンと言えるフライング・リザーズ事、デビット・カニンガムのサウンドはブっ飛んでるというよりぶっ壊れている。

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