ザ・ジャム解散後にポール・ウェラーが、ミック・タルボットと結成したユニットのデビューアルバム。
その当時に興味がある音楽をすべて取り入れた様な良い意味でも悪い意味でも80年代を感じさせてくれる。
- ミックス・ブレッシング
- ザ・ホール・ポイント・オブ・ノー・リターン
- ミー・シップ・ケイム・イン
- ブルー・カフェ
- ザ・パリス・マッチ
- マイ・エヴァ・チェンジング・ムーズ
- ホワイトハウスへの爆撃
- ゴスペル
- ストレングス・オブ・ユア・ネイチャー
- ユーアー・ザ・ベスト
- ヒアズ・ワン・ザット・ガット・アウェイ
- ヘッドスタート・フォー・ハッピネス
- カウンシル・ミーティン
ロックにジャズを取り入れた先見性と勇み足
一応パンクに分類されていたザ・ジャムを解散させたポール・ウェラーがどんな音楽を展開するか当時の音楽界の注目の中、『カフェ・ブリュ』は発表された。
なんと全13曲中5曲がヴォーカルなしのインストロメンタル、しかも前半はラウンジ系のまったりとメロウなナンバーで構成されていた。
ジャズっぽいんだけど本格的なジャズとはちょっと違った軽く取り入れてみました風のライトテイストは特に日本の渋谷系と言われた音楽ジャンルにも大きな影響を与えた。
最初の『ミックス・ブレッシング』のジャズピアノを聴いただけで「ポール・ウェラーは、ジャムとは思い切り違った音楽がやりたいんだな」っていう意図を感じる。
特に『ブルー・カフェ』みたいなアンニュイまったりナンバーを聴いているとあのトンガっていたウェラーはどこに?って感じになる。
アルバムをリードする『マイ・エヴァ・チェンジング・ムーズ』は、全英5位、全米でも29位のヒットとなり、一躍注目のバンドとなった。
ただ、派手目なシングルバージョンに比べてアルバムバージョンは、ピアノとヴォーカルのみのかなり抑え目なアレンジとなっている。
もうひとつのシングル曲の『ユーアー・ザ・ベスト』が、スタイル・カウンシルがやりたい音楽性を一番表現できているように思える。
デジタル音は控えめでジャズとソウルで味付けしたネオアコブームの先駆けとなった名曲だ。
正直言ってヒップホップやラップを取り入れた『ゴスペル』や デジタルビートの『ストレングス・オブ・ユア・ネイチャー』 らの楽曲は、あまりにも安易につまみ食いしすぎで今聴くとちょっとイタイ。この手の音楽はデュラン・ デュランにでも任せとけばええんやで!
良い意味でも悪い意味でも80年代的
ロックから脱却して新しいソウルフルな音楽性を模索する野心的な反面、表面的な薄っぺらさも感じる。
それでもこの『カフェ・ブリュ』ほど80年代テイストにあふれたアルバムはないかも知れない。
だから多分、トレンドリーダーとしてリアルタイムで聴いたの思い入れのある世代と後追いでCDやダウンロードで聴いた世代では温度差があるから全然評価が違ってくるアルバムじゃないかな。
このアルバムがなかったら多分、佐野元春のデビュー当時の音楽性が大きく違っていたはず。
何もここまでザ・ジャムから極端に変わらなくてもって気もするけどすごい生真面目なポール・ウェラーの性格が反映されたようでちょっと面白い。
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