目立ちすぎていた?ブライアン・イーノ脱退後に発表されたロキシー・ミュージックの3rdアルバム、『ストランデッド」。
過去2作に比べて全体的にサウンドがスッキリしてだいぶ聴きやすくなった。
- ストリート・ライフ
- 君の如く (ジャスト・ライク・ユー)
- アマゾナ
- 祈り
- セレナーデ
- ヨーロッパ哀歌
- マザー・オブ・パール
- 日没
イーノ脱退でサウンドに変化
ブライアン・イーノが抜けたシンセサイザーパートの穴は新メンバーのエディ・ジョブソンを補強(当時18歳!)
似たようなポジションなのにかなり控えめに感じるのは新人だから遠慮しているというよりもキャラクターの違いとみた。
ただジョブソンは、ヴァイオリンが弾けたりと楽器演奏も堪能なので楽器ができないイーノとは違い純粋なプレイヤータイプミュージシャンだった。
たぶんフェリーさんもそんな前に出ない謙虚で複数パートもこなす器用なところが気に入ったんだとだろう。
前作までの訳のわからないシンセノイズがだいぶは控えめながらうっすらと鳴っているのがちょっとほほえましい。
当時のブライアン・フェリーはソロアルバムも製作していてかなり多忙だったはずなのに曲もアレンジもよく練られていて申し分ない。
アルバム全体から才気がほとばしっているように感じる。
そして何よりも聴きやすくなった!
これがエスカレートして後期は聴きやすくなりすぎちゃうんだけど、このストランデッドからサイレンあたりまでが一番いいバランスの聴きやすさなんじゃないかと思う。
オープニングを飾る『ストリート・ライフ』は、その後もライブの重要なレパートリーとなるナンバー。
2曲目の『ジャスト・ライク・ユー』はそれまでのロキシーミュージックになかったまっとうないい曲。
いやこの曲本当にいいわ。
シンプルなピアノのアレンジもフィル・マンザネラのギターソロも哀愁があって聴き所。
そして3曲目の『アマゾナ』。
最初聴いた時、「うわースゲー変な曲~」って思ったけど聴いているうちにこれが病みつきになってくる。
マンザネラが作ったと思われるラテン風なギターリフに始まり転調してからシンセとギターのノイズの組み合わせが絶妙。
その後のギターソロがまたフィル・マンザネラでなきゃ弾けない(弾こうと思わない?)ようなエキセントリックな名演。
でもこの曲をまとめてるのはブライアン・フェリーなんだよな。
やっぱりフェリーさんじゃなきゃこんな変でカッコいい曲は作れないんじゃないかな。
『ヨーロッパ哀歌』は、色んな人がほめてるけどあまりに普通にいい曲すぎてそんなに絶賛するほどいいかなーと思う。
これがもっと後期のアルバムに収録されてたら違和感なく素直に良い曲で後期のアルバムなら良いけど『ストランデッド』に入るとちょっとまとまりすぎているかな。
何といっても、このアルバムのクライマックスは『マザー・オブ・パール』。
この曲のテンションは冒頭から尋常じゃないしプログレ的な展開も曲の長さもロキシー・ミュージックの中では異色ながらブライアン・フェリーの曲の中でも3本の指に入る名曲。
Bメロに入るとテンポが変わる心地よい裏切りとブライアン・フェリーの音楽的ルーツであるR&Bの影響も感じられる。
これまでキャラクター的にもサウンド的にも飛び道具だったイーノが脱退した為、良い意味でも悪い意味でも落ち着いてきているが、まだバンドが試行錯誤をしているさまが見て取れるのが面白いアルバム。
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コメント
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このアルバムでガラリと印象が変わりますねぇ。
言われてみれば「ストリート・ライフ」のイントロのややノイジーな感じが前作を背負い込んでいるような気もします。
ジャスト・ライク・ユーの妙なバラード感あふれるフェリーの歌い方、マンザネラのソロの味わいもたまりませんね…
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> 言われてみれば「ストリート・ライフ」のイントロのややノイジーな感じが前作を背負い込んでいるような気もします。
そうなんですよね。
イメージ的には引きずってるんだけどイーノがいない事で自然とサウンドも変わっていった時期なんでしょうね。
でもデビュー時はラメのスーツだったのに白のスーツに蝶ネクタイだからフェリーさんの衣装にも変化がありますね(笑