ジーザス・ジョーンズ/パーヴァース(Jesus jones/Perverse)

90年代 ロック US

ジーザス・ジョーンズの1993年リリース3rdアルバム。
それまでのポップなサウンドとは一味違う一筋縄ではいかない重厚なデジタルサウンドで賛否両論となった。全英6位。全米59位。

収録曲
  1. ゼロズ・アンド・ワンズ
  2. ザ・デヴィル・ユー・ノウ
  3. ゲット・ア・グッド・シング
  4. フロム・ラヴ・トゥ・ウォー
  5. イエロー・ブラウン
  6. カリカチャー
  7. マガジン
  8. ザ・ライト・ディシジョン
  9. ユア・クルセイド
  10. ドント・ビリーヴ・イット
  11. フェニックス
  12. タン・タイド
  13. スパイラル
  14. イディオット・ステア
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ファン離れを招いた?問題作

一時期、スゴイ勢いでもてはやされて急激に評価と人気が落ちるバンドって結構あるけどジーザス・ジョーンズってその典型だったよなー。

『パーヴァース』は、バンドにとって勝負となる3rdアルバムであり、この作品で確固たる地位を確立する・・・ハズだったが、このアルバムあたりからそれまで絶賛していたファンや評論家からソッポを向かれたような印象がある。

レコーディングは、マイク・エドワーズがジーザス・ジョーンズ最後のツアー中にホテルの寝室で書いた15 秒のスケッチから始まり、1991年から 1992年にかけてロンドン北部のエドワーズの自宅で2か月半かけてフロッピーディスクに保存された。

エドワーズは、ロックが70年代から大きな変化がない事に疑問を持っており、自分達が生きている社会を反映したアルバムを作るためにコンピューター技術を使うという事はごく自然なことだという結論に至り、それまでのテクノロジーを取り入れたバンドサウンドからデジタルで完結するアルバム制作を決意した。

アナログ楽器は一部のドラムパート以外ほぼ使われなくなり、MIDIギターとドラムパッドを使用していてベースもギターの音域を下げてレコーディングしている。

バンドでの再現性は無視され実際にメンバーがライブで演奏する必要のない曲も含まれていた。

つまり『パーヴァース』制作時時点でジーザス・ジョーンズはバンドとしてはすでに終わっており、マイク・エドワーズ以外のメンバーはもはや不要になっていた。

気付けばアルバム発表後、日本で『パーヴァース』を褒めているのは当時親交があってライナーを書いた布袋寅奏だけだったみたいな感じで2000年以降に至っては日本で全アルバムが廃盤という惨状・・・

オープニングの『ゼロズ・アンド・ワンズ』はこれまでの音楽性の延長上ながら、テクノビートにエレキギターをかぶせたようなロックよりもテクノに比重を置いた曲という印象を受ける。

そしてそれはそのままアルバムを通しての印象になる。

Zeroes And Ones - Jesus Jones

次の『ザ・デヴィル・ユー・ノウ(The Devil You Know)』を聴くとやや早すぎたインダストリアルロックという感がある。1992年12月にシングル・リリースされ全英10位を記録している。

The Devil You Know - Jesus Jones

セカンド・シングルとしてリリースした『ザ・ライト・ディシジョン』は全英シングルチャートで36位と低迷してしまった。

『イエロー・ブラウン』のような起承転結がハッキリしていないシンセサイザーで制作されたギターレスの楽曲は、それまでのジーザス・ジョーンズの曲には無かった実験的な試みだった。

その反面、従来のファンが喜びそうな『マガジン』のようなポップなデジタル・ロックも含まれている。

アルバム総評

この『パーヴァース』をあらためて聴き直したら、それまでの2枚のアルバムと比べて確かに聴きやすいアルバムではないが、楽曲のクオリティはかなり高く出来は決して悪くない。

現在のバンドでもこんなサウンドはありそうだ。
完全にコンピューターで録音された最初のアルバムでもあり、この手のデジタルロックはジーザス・ジョーンズがすでに90年代前半の時点でほぼ完成させていたのだ。

マイク・エドワーズが新しいサウンドの方向性が欲しかったのは理解出来るし、それなりにうまくいったはずだった。

ただ似たようなアレンジの曲が続くので途中で飽きが来てしまう。
これまではサウンドの単調さをメロディーのポップさでカバーをしてきたが、『パーヴァース 』にはその要素が薄く、ここから人気が失速したのも納得できる。

従来のファンが求めていたのはもっとポップで分かりやすい音楽で新しいファンを獲得するにはもっと大胆な変化が必要だったのかも知れない。

後にアメリカのレビューサイト、ピッチフォークは1990年代の「キャリアを潰した10枚のアルバム」のひとつとして『パーヴァース』を挙げている。

何よりも時代を先取りし過ぎたという感があるアルバムでジーザス・ジョーンズというバンド自体が、今や知る人ぞ知る存在となってしまったが、もうちょっと再評価してほしいバンドのひとつだ。

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コメント

  1. まい・ふぇいばりっと・あるばむ より:

    ジーザス・ジョーンズ

    ジーザス・ジョーンズのサードアルバム『パーヴァース』。少し前にフェスで来日して結構話題になっていたので、ジーザス・ジョーンズを聴いてる人はいると思いますが、今時サードアルバムを大真面目に聴いてるのは自分位では無いでしょうか?さてそのサードアルバムで….

  2. OZZY より:

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    nasumayoさんコメントありがとうございました。
    それにしても今時ジーザスのサードを自分以外に聴いてる人がいたなんて!(笑)
    本当にビックリしました。
    nasumayoさんのブログは自分の方法と似てるのでこれからちょくちょく遊びに来ま~す。
    とりあえず今日は挨拶です。
    宜しくお願いします。m(_ _)m 

  3. nasumayo より:

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    やっぱ3rdってトコがポイントでしょw
    なんかOZZYさんのブログ自分のと似てるなーと思いましたよw
    他の記事もコメントもらったけどなぜか表示されないんですよねー
    ではこちらからも遊びに行きますね。
    よろしくです。