オーディオテクニカATH-WS1100は、ハイレゾ対応の高価格帯ヘッドフォン。
これまでオーディオテクニカの弱点ともいえる『低音』に重点を置いたモデルとしても注目されているが、その実力はいかに?
購入までの経緯
これまでずっと愛用してきたオーディオテクニカのヘッドフォンの名器AD500がそろそろ限界を迎えようとしていた。
もう10年以上も使っているからヘタってくるのも無理はない。
しかし、AD500は古いモデルなので同じタイプはもう発売していない。
だから最近流行のハイレゾ対応のヘッドフォンが欲しかったのもあって思い切って新しいモデルを購入しようと決意した。
そこで同じオーディオテクニカのオープンエアー式でワンランク上のモデルを探してみた。
その中で一番欲しくなったのがATH-WS1100だった。
オーディオテクニカのヘッドフォンは昔から音のヌケが良く中高音の立体感や広がりが好きだったが、低音があまり出ないのが唯一と言ってよいほどの不満点だった。
そのオーディオテクニカが重低音とハイレゾをテーマにした発売したヘッドフォンモデルがATH-WS1100というのでもうこれで決まりだと思った。
サウンドの特徴
ATH-WS1100を実際に使用してみての第一印象は、オーディオテクニカが強調しているほど低音は出ていないという事だった。
てっきりSONYのように低音バリバリなサウンドなのかなと思ったら、そこはあくまでもオーディオテクニカにしては低音が出ていると思った方が良い。
少なくとも低音の迫力を期待するなら同価格帯のMDR-1A辺りを購入した方が良さそう。
一番の特徴は、やはりオーディオテクニカらしいバランスの良い音のヌケと解像度の高さ。
こちらに関しては、MDR-1Aよりもワンランク上なのではないかと思う。
そして音の輪郭がマルっとして聴き疲れしない。
外観と使い心地
正直言って価格の割に見た目のゴージャスさは感じない。
見た目では、MDR-1A の方が明からに高級感があってデザインも良かった。
とは言ってどうにもダサイという訳でもなくルックスは可も無く不可も無くといった感じか。
しかし特筆すべきは、その装着感の良さ。
イヤーパッドはピタっとフィットするのにアルバム1枚分聴いても聴き疲れしないしどこも痛くならないのは、これまでのオーディオテクニカのノウハウが詰まっていると感じた。
リケーブルせずに延長コードを購入
一番気になったのは、付属のケーブルが短い点。
AD500と比べると50センチほど短く、これだと部屋で聴くには、ちょっと短いので不便。
足りない場合は、延長ケーブルを購入するかリケーブルする必要がある。
リケーブルするのは一種のギャンブルだし、金銭的にも負担が大きいので延長ケーブルを購入する事にした。
ただし、安いケーブルと接続した場合、音質が劣化するのは明らかだ。100均の延長ケーブルなど論外!
試しにまず安いAmazonでレビューが良かった中国製の延長ケーブルを購入して試してみたが、話にならないほどの低品質だった。
『レビューを書いてくれたらタダにします』的な事が書かれた紙が同封してあってAmazonでの評価が高かった理由に納得した。
次に同じオーディオテクニカ製が無難だと思ってAT645Lを購入して延長してみたが、音質が劣化してしまい使いものにならなかった。
さらにその後にAT3C19も購入して試してみたが、こちらも確かに安物と比べると音の劣化は少ないものの、ダイレクトで繋いだ時と比べて低音が物足りなくなり、音の深みが無くなってしまった。
本当にケーブルがあと50cmコードが長ければ良かったのにオーディオテクニカも罪作りなことをしてくれた。
3度目の正直でやっと満足する延長ケーブルを見つける事ができた!
それがこのエレコムのEHP-35ELS20BKだ。
どうせ今回もダメかな?って感じで試してみたら、ほとんどダイレクト接続と変化がない?
いや、ケーブルの長さが伸びているのだから少しは劣化しているはずと思って同じ曲を3回ずつ交互に聴いてみた結果、やはりわずかな劣化はあったが充分に許容できる範囲だった。
価格も1,000円以下と安くコスパも良いので満足している。
音の感想をまとめると以下のとおり。
- 中音域とくにヴォーカルはほとんど劣化が感じない。
- 全体的にややヌケと透明度が落ちるがほとんど気にならなかった。
- ハイハットやギターのカッティング等の高音パートの音の分離はワンランク落ちる。
その他の気になった点
あとは、今更ながら音漏れがする点かな。
ただこれは、オープンタイプの宿命なのでATH-WS1100だけの問題ではない。
とは言え、なんでケーブルを短くしたのかと考えるとやはりポータブルヘッドフォンとして考慮された面があるはず。
にも関わらず思い切り音漏れするのでポータブルのヘッドフォンには向いていない。
このあたりがややチグハグな印象を受けた。
少なくとも電車やバスの中で利用するヘッドフォンには向いていないだろう。
まとめ
バランスの良い音でオールジャンルをカバーするヘッドフォンなので、ハイレゾ対応でヘッドフォンに2万くらいまでなら出しても良いと思える人にはおすすめできる。
10年持つかは分からないが、以前のオーディオテクニカのモデルの持ちのよさを考えると耐久性もありそう。
正直びっくりするほどの音の良さは無かったが、期待通りの音のクリアさだった。
過度な期待をしなければメインのヘッドフォンとして活躍してくれるだろう。
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