ザ・スミス/The Smiths

The Smiths

モリッシーとジョニー・マーを中心とする80年代UKロックを代表するバンド、ザ・スミスのデビューアルバム。UKチャートの2位を記録。

ジャケット写真は、アンディ・ウォーホルの映画『フレッシュ』から。

  1. リール・アラウンド・ザ・ファウンティン
  2. ユーヴ・ゴット・エヴリシング・ナウ
  3. ミゼラヴル・ライ
  4. プリティ・ガールズ・メイク・グレイヴス
  5. ザ・バンド・ザット・ロックス・ザ・クレイドル
  6. ジス・チャーミング・マン
  7. スティル・イル
  8. ハンド・イン・グローヴ
  9. ホワット・ディファレンス・ダズ・イット・メイク?
  10. アイ・ドント・オウ・ユー・エニシング
  11. サファー・リトル・チルドレン
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80年代の救世主ザ・スミスデビュー

ザ・スミスの始まりは、ギターのジョニー・マー(1963年10月31日生まれ)が、ニューヨーク・ドールズのファン・クラブを運営し音楽雑誌に投稿していたヴォーカルのスティーブン・パトリック・モリッシー(1959年5月22日生まれ)の家をビリー・ダフィーの紹介を受けて突然訪ねた事から始まった。

その場で意気投合した2人は早速曲作りを開始して『サファー・リトル・チルドレン』と・『バンド・ザット・ロックス・ザ・クレイドル』を作曲した。

ザ・スミスというバンド名は、イギリスで最もありふれた苗字である『スミス』から付けられた。日本で言うと『鈴木』や『佐藤』って所だろうか。

普通だったらなるべくカッコ良く個性的なバンド名を付ける所をあえて平凡で目立たない匿名性のあるバンド名を付けた時点からこのザ・スミスの立ち位置は決まっていたようだ。

バンドのデビューライブは、ブルー・ロンド・ア・ラ・タークの前座としてマンチェスターのリッツという会場で行われた。

デビュー・アルバムのレコーディングは同じくマンチェスターのプルート・スタジオで行われた。最初にロンドンでレコーディングした内容が気に入らずジョン・ポーター急遽録り直したのだった。

このデビューアルバムに関しては、リアルタイムで聴いた訳ではないが、80年代の伝説のバンドだと聞いていたので聴く前の期待は非常に大きかった。

そして1曲目の『リール・アラウンド・ザ・ファウンティン』を聴き終わった時のガッカリ感も良く覚えている。

もっとガーンとくるビートで来るかと思ったのに、何のひねりもないチープなリズムマシーンのようなビートに間違えないように置きにいってる感丸出しの演奏にモリッシーの念仏のようなヴォーカルが乗っている。

アルバムの最後まで聴いても何が良いのかさっぱり分からず数ヶ月ほったらかした。

しばらく経って聴いてみてもやっぱり何が良いのかはわからなかったが、何故か段々と聴く回数が増えていった。

何気なく歌詞カードを見ると妙に情けない事が書いてあり、これがロックの歌詞か!と妙な衝撃を受けた。

音楽的にはネオアコに分類される事もあるザ・スミスだが、実際に聴いてみるとそんな耳障りのよい音楽では無い事がわかるだろう。
最初からBGMになる事を拒否するかのような姿勢はパンクと同質の反骨心を感じた。

『ミゼラヴル・ライ』は1曲目と同様にゆっくりと始まり、またこの手の曲かと思わせて急にテンポアップして攻撃的なサウンドに変化する。
モリッシーの歌い方はまるで普段穏やかなオネエが、何かのきっかけでキレて『キー!』とわめいているようにも思えるし、いじめられっ子が開き直って両手を振り回して暴れ出したようにも思える。

The Smiths - Miserable Lie (Video) (Remastered)

似たようなミディアムテンポの曲が多い中、一番聴きやすいのはシングルの『ジス・チャーミング・マン』

ジョニー・マーによる複雑かつ繊細で躍動感のあるギター、小気味良いリズムにモリッシーの歌も伸びやかでポップソングとして完璧と言ってよいほど完成度が高い。

The Smiths - This Charming Man (Official Music Video)

その他の大半の曲に関してはハットフル・オブ・ホロウに収録されているバージョンの方がバンドとしての演奏は硬さが取れているし勢いもある。

アルバム総評

このデビューアルバムを聴く限りは才気走ったまだまだ発展途上のバンドと言った感じ。
それでも何度も聴き返してしまう魅力が詰まっている。

モリッシーはおそらく、暗くネガティブでかっこ良くない初めてのロックスターだろう。

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