ミック、キースともにソロ活動を経ての1989年にリリースされたローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)3年ぶりのアルバム。
全米3位、全英2位。
- サッド・サッド・サッド
- ミックスト・エモーションズ
- テリファイング
- ホールド・オン・トゥ・ユア・ハット
- ハーツ・フォー・セール
- ブラインデッド・バイ・ラヴ
- ロック・アンド・ア・ハード・プレイス
- キャント・ビー・シーン
- オールモスト・ヒア・ユー・サイ
- コンチネンタル・ドリフト
- ブレイク・ザ・スペル
- スリッピング・アウェイ
初来日の違和感
『スティール・ホイールズ(Steel Wheels)』が発表された1989年、日本はバブル景気のピークだった。
翌1990年東京ドームで行われた日本ツアー全10公演チケットはソールド・アウト。
いくら初来日だからって違和感を感じた。そんなにストーンズって日本で人気あったっけ?
本当にあの当時日本でローリング・ストーンズの根っからのファンで来日ツアーを心待ちにしていたファンがどれだけいたのかいささか疑問が残る。
このストーンズの来日をきっかけに東京ドームで欧米の有名ミュージシャンが次々に来日公演を行う様子はまさしくバブル、2010年代以降の洋楽のマイナーぶりを考えると異常としか言いようがなかった。
私はローリング・ストーンズについてほとんど知らないし、アルバムをまともに聴いた事もない。
名盤と言われる60.70年代のアルバムをいくつか聴いたがピンとこなかった。
それでも『スティール・ホイールズ(Steel Wheels)』発表直後の日本ツアーのライブ映像はテレビ放送されていたので観た記憶がある。
当然『スティール・ホイールズ(Steel Wheels)』からの選曲が多かったので一定年齢以上の日本国民にとっても最も馴染があるローリング・ストーンズのアルバムと言えるのではないか。
ミックとキースがカリブ海の小国バルベイドスにセッションを行い2週間で35曲を作るほどの熱の入れようだったと言われている。
オープニングはツアーを意識して作曲されたであろうアップ・テンポナンバー『サッド・サッド・サッド(Sad Sad Sad)』からスタートする。
次はタイトルどおりエモーショナルな『ミックスト・エモーションズ(Mixed Emotions)』、当時は特に何も思わなかったけどスタジオ録音でこれだけライブ感が出せるストーンズってやっぱりすごいバンドだったんだな。
チャートでは全米5位、全英36位を記録している。
次にシングル・カットされたのが切り裂くようなキースのギターリフが印象的な『ロック・アンド・ア・ハード・プレイス(rock and a hard place)』。チャートでは全米23位、全英63位を記録。
さらに『オールモスト・ヒア・ユー・サイ(Almost Hear You Sigh)』は、アルバムからの3rdシングル。
もともとはキースがソロ・プロジェクトの為に作曲したが、発表されずミックに合うだろうという事で提供された。ソウルフルなミディアム・ナンバーでアルバムでは良いアクセントになっている。
チャートでは全米50位、全英31位を記録している。
アルバム総評
私のようにストーンズに詳しくない人がイメージする一般的なストーンズは、この『スティール・ホイールズ』の中にあるんじゃないかなというくらいストーンズっぽいアルバム。
アメリカだけで200万枚以上の売り上げとなりセールス的にも大成功した。
産業ロックがあふれていた89年発表だが、同時期に他の大物ミュージシャンが薄っぺらいサウンドの現在聴き直すと厳しいアルバムを発表する中、どっしりとした安定感と普遍性のある音楽性はさすがの内容だった。
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