2022年になっても新作が発表される人気アニメ、攻殻機動隊シリーズ。
2002年放送で2003年にリリースされた『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX O.S.T』を聴いていたら、ビョークの『ハイパー・バラッド(Hyperballad)』のカバーらしい曲が始まった。
でもタイトルは『where does this ocean go?』、途中からこれってカバーじゃないんだって気付いた。
職業作曲家の悲哀から生まれた曲?
『where does this ocean go?』を歌うイラリア・グラツィアーノは、イタリアの歌手らしいけど作曲は日本の作曲家、菅野よう子だった。
このアレンジ、メロディーの出だし、どう聴いてもビョークのシングル曲『ハイパー・バラッド(Hyperballad)』を参考にして作曲したとしか思えない。
むしろ、積極的に寄せていってる感じすらある。
Ghost in the Shell – where does this ocean go?
『where does this ocean go?』について調べてみるとサイトによっては原曲が『ハイバー・バラッド』だとハッキリ書いているケースもあったが、どうやらこれは一応、菅野よう子のオリジナル楽曲のようだ。
そして、インタビュー記事の情報から監督がビョークをサントラに起用したかったけど、うまくいかずに菅野よう子にビョークっぽい曲が欲しいと依頼されたという流れが分かってきた。
このいきさつを知ってどうしても思い出してしまうのが、『ゴースト・バスターズ』だった。
『ゴースト・バスターズ』のヒットで知られるレイ・パーカー・JRも当初、サントラ用にヒューイ・ルイスの『アイ・ウォント・ア・ニュー・ドラッグ』を起用したかったが、断られた事から似た曲が欲しいと依頼されて作曲した経緯があった。
だから、『where does this ocean go?』がビョークの『ハイパー・バラッド(Hyperballad)』に似ているのは当たり前なのだった。
Björk「Hyperballad」
アレンジの雰囲気や一部のメロディーは似ているが、メロディーを変えてちゃんと違う曲にしているのはさすがプロの作曲家。
だけど筒美京平のように洋楽にオリジナル要素を加えて別の魅力を生み出す域には達していないように思える。
まとめ
おそらく菅野よう子にとっては、監督に依頼されたので「はいはいビョークっぽい曲ですね」って感じで仕事としてこなした楽曲が『where does this ocean go?』という曲だったという事なのだろう。
原曲の『ハイパー・バラッド(Hyperballad)』にあった力強さや自由奔放さは感じられず、『where does this ocean go?』には何か寂し気な印象だけが残ってしまうのは作曲者が作りたくて作った訳ではないやっつけ仕事感があるからなのかも知れない。
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