スマッシング・パンプキンズ初期のアルバムでボツになったアウトテイク、シングルのB面やデモ曲を集めてまとめた94年リリース・アルバム。
当初はバンド側の意向でアメリカのみで発売され、その後日本でもリリースされた。
初期のアコースティックでメランコリックな曲が数多く入っており、ハードな曲は少なめで初心者にも聴きやすい。
初期のアウトテイク+シングルB面
- スージ
- フレイル・アンド・ビダズルド
- プルーム
- ワー
- ブルー・アウェイ
- ピスアント
- ハロー・キティ・キャット
- オブスキュアード
- ランドスライド
- スターラ
- ブルー
- ガール・ネイムド・サンドス
- ラ・ドリー・ヴィータ
- スペースト
『パイシーズ・イスカリオット』を聴いて驚かされるのが収録された曲のバラエティの豊富さとそして何よりも楽曲のクオリティの高さだ。
アウトテイク集と言うのは結構有名なアーティストでも「あーやっぱりアルバムに入れるのはちょっとねー」みたいなクオリティの作品が多く一部のマニア向けという感は否めないが、この『パイシーズ・イスカリオット』ちょっと趣が違う。
それぞれの曲は、カップリングだったり、ボーナス・トラックだったのにも関わらず1曲ずつに強烈な個性があり輝きを持っている。
とは言っても1曲ごとの寄せ集めのため他のスマパンのアルバムのようなトータルなまとまりや流れは当然ない。
1曲目のビリー自宅でレコーディングされた『スージ』からビリーによるアコギの弾き語りで他のスマパンのアルバムとは違うんだよと提示している。
ジェイムスが歌う『ブルー・アウェイ(Blew Away)』は、ビリーとはまた違った繊細さを感じる曲で、この曲がきっかけでソロ・アルバム発表へとつながる。
『ピスアント』はデビューアルバム『ギッシュ』日本盤の最後にボーナス・トラックとして収録されていた。
カバー曲は、フリートウッド・マックの『ランドスライド(Landslide)』、エリック・バードン&ジ・アニマルズの『ガール・ネイムド・サンドス(A girl named Sandoz)』を収録。どちらもオリジナルに忠実なアレンジだが、実にスマパンらしい選曲でなんの違和感もなくアルバムに溶け込んでいる。
メロウな曲だけじゃなく『ピスアント』『ハロー・キティ・キャット』などのハードロックナンバーも収録されているが曲ごとに音質が違うのはレコーディング時期も違うし仕方のない所か。
アルバム総評
2ndアルバム『サイアミーズ・ドリーム』までのスマパンが持っていたアコースティックでスペイシーかつサイケデリックな魅力が目一杯詰まっている。
ただ単にアルバム未収録曲を寄せ集めたのではなく、その中でもビリー・コーガンがかなり厳選して収録曲を選んでいたのが分かる。
改めてビリー・コーガンの底知れぬ才能を感じた。
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