ザ・スミスのオリジナルでは2枚目のアルバム。
ジョニー・マーのソングライティング能力が一気に開花し、モリッシーの歌詞と歌の表現力も増してバンドとしての勢いを感じる1枚。
- ザ・ヘッドマスター・リチュアル
- ラショーム・ラフィアンズ
- アイ・ウォント・ザ・ワン・アイ・キャント・バヴ
- ホワット・シー・セッド
- ザット・ジョーク・イズント・ファニー・エニモア
- ハウ・スーン・イズ・ナウ?
- ノーホエア・ファースト
- ウェル・アイ・ワンダー
- バーバリズム・ビギンズ・アット・ホーム
- ミート・イズ・マーダー
カッコ悪いロックスターの誕生
『ミート・イズ・マーダー』は、地元マンチェスターから離れリヴァプールのアマゾン・スタジオでレコーディングされた。
ザ・スミス登場以前のロックの詞はどんな場合でもどこかしら強がりや弱くても這い上がっていく闘志のようなものがあったがモリッシーの詞には全くそれが見当たらなかった。
その点でモリッシーは全く新しいタイプのロックスターだった。
『ミート・イズ・マーダー』1曲目の 『ザ・ヘッドマスター・リチュアル』から引用してみよう。
人生なんてどうでもいい。
人生なんてたちの悪い過ちだ。
体育を休ませてください。
風邪がひどくなりそうなんです。
と全く救いがないばかりか実に情けなくて落ち込みたくなる歌詞が続く。
しかも映像ではあのクネクネとしたタコのようなダンスをしながら歌うモリッシーは従来のカッコいいロックスターからかけ離れていた。
かっこ悪くてどこにも救いはない。
でも追い込まれた小動物やいじめられっ子が無意識に発揮する怖さと強さをモリッシーの詞は持ちあわせている。
斬新なギターのイントロから始まる『ハウ・スーン・イズ・ナウ?(How Soon Is Now?)』は、ジョニー・マーが、ほかのバンドメンバーがパブに繰り出している間に書いた曲。
後にジョニー・マーはこうコメントしている。
「ピカソが言ったことには、インスピレーションというものは確かに存在しているけれども、仕事をしていないと閃くことはないというんだよね。
これはすごく言い得ているとぼくは思うんだ。
仲間たちは、つまり、バンドの連中は週末と休日の連休があってどこかへ繰り出してたんだけど、ぼくはこの曲を書かなきゃならなかったからどこにも行けなかったんだよ。
もともとは、シングル『ウィリアム』のB面曲だったこの曲は初期スミスを代表する曲のひとつとなった。
『ミート・イズ・マーダー』には従来のロックバンドが語って来なかったカッコ悪さに満ちあふれている。
『ザット・ジョーク・イズント・ファニー・エニモア』のマーの切り裂くようなカッティングに叫びのようなギターソロは当時としてはとても斬新なアレンジでまるてモリッシーの書いた白昼夢のような歌詞の内容を具体化したようなサウンドだ。
アルバム総評
ファーストでは、どっちにいくんだ?的な迷いのようなものも感じられたが、『ミート・イズ・マーダー』には俺たちはこっちだ!という明確な意志のようなものを感じる。
それは従来のロック・ミュージックが取りこぼしてきた新しいファン層の獲得でもあった。
本国ではMeat Is Murder(食肉は殺人)のタイトルに影響されてベジタリアンになった若者も多かったそうだが、そんな時、英語分からなくて良かった!と色々な意味で思うのだった。
- iTunes試聴&ダウンロード
- Meat Is Murder
ザ・スミス
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The Smiths ザ・スミス/ハットフル・オブ・ホロウ
コメント
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まあ強気の時は聴きませんよね。
だからと言って弱気の時に聴いて励まされるって訳でもなく。
なんだろ俺みたいなダメなヤツが他にもいるんだなーって共感かなぁ。