松原みき/Pocket Park

Pocket Park J-POP

リバイバル・ヒットでふたたび注目を浴びた『真夜中のドア~Stay With Me」を含む松原みきのデビューアルバム。

ボーナス・トラックとして『真夜中のドア~Stay With Me」クラブ・バージョンを収録。

1.真夜中のドア/Stay With Me[5:10]
2.It's So Creamy[3:41]
3.Cryin'[3:55]
4.That's All[4:00]
5.His Woman[4:05]
6.Manhattan Wind[3:28]
7.愛はエネルギー[3:35]
8.そうして私が[4:14]
9.Trouble Maker[4:32]
10.Mind Game[3:56]
11.偽りのない日々[3:53]
12.真夜中のドア/Stay With Me (Original club mix Mixed by D.O.I.) (Bonus Track)[5:46]
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最近知った松原みきがリバイバル・ヒットしてた

外国人がYou Tubeで発見した竹内まりやの『Plastic Love』がシティ・ポップの名曲として再評価され、次のシティ・ポップの名曲として『真夜中のドア~Stay With Me」が注目されているのとはまったく別の場所で私は松原みきの存在を最近知った。

それはAmazon Music Unlimitedのガンダムのプレイリストの中にあった『THE WINNER』って曲だった。

この曲を聴いて日本にまだ知らないこんなスゴイ歌手がいたのか!とちょっとした衝撃を受けた。

松原みきという歌手の存在自体知らなかったが、そのプレイリストに収録された楽曲の歌手の中でも声質が好みで歌唱力、表現力がトップレベルたっだので興味を持ってググってみたら2004年にすでに亡くなっていたと知った。

そして、子供の頃に大好きだったGU-GU ガンモの主題歌を歌っていたのもスージー・松原こと松原みきだと知ってさらに興味が増していった。

GU-GU Ganmo [GU-GU ガンモ] ガンモ・ドキッ! FULL OP

その後、松原みきの代表曲である『真夜中のドア〜Stay With Me』を聴いて気に入って、この『Pocket Park』というアルバムのCDを購入した。これは最近の事だった。

つまり、同じ日本で松原みきと部分的に同時代を生きていたのに存在を知ったのはたまたま外国のファンと同じタイミングだったのだ。

真夜中のドア~粗削りなJ-R&Bの夜明け

アルバムはいきなり『真夜中のドア』からスタートする。

データがないので詳しくは分からないが、松原みきは『真夜中のドア』以上のヒット曲はなかったようなので世間では一発屋扱いだったのだろうか。

松原みき - 真夜中のドア~Stay With Me

やはりアルバムを最後まで聴いてみて『真夜中のドア』以上の楽曲は見当たらない。

この曲だけが他の曲と違った特別な輝きがあるように感じるのは他の多くの曲がいかにも歌謡曲といった印象なのに対して、粗削りながら現代でも通用するようなR&Bテイストを感じるからだ。

とは言え、『真夜中のドア』がリリースされたのは1979年。当時はロックもジャズもR&Bも全部ひっくるめて歌謡曲だった。

曲の中に現代のJ-POPではまずやらないような事もやってたりする。

松原みきの歌唱法でいうとアップテンポの曲なのに♪帰らないでと泣いた~の部分のように妙にタメを作って歌ってたり、部分的にヴィブラートのリズムの取り方が後ろじゃなく前のほうで取ってたりしている。

これらは無意識にやっていた事なんだろうけど、演歌とか民謡とかの歌い方に近く、たぶん現代だったらプロデューサーとかに直されかねないが、当時の何でもありの歌謡曲の時代だからこそなのか、そのままレコーディングされている。

しかし、このちょっとした違和感が今となっては味になっているように思える。

この欧米の歌手にはない和風R$Bテイストが外国人にも受けた要因のひとつではないだろうか?

欧米の枠組みの曲を普通に歌っているつもりが、ついつい染み出してしまう日本らしさ。このあたりに日本の歌手が世界的に通用するヒントがあるような気がしてならない。

以降の収録曲

最初から『真夜中のドア』だったから、ここですでにクライマックスなのは仕方がない。

しかし、2曲目のフリーソウル風の『It’s So Creamy』は、『真夜中のドア』とは別のタイプの曲で強引にどんどん展開してくのが面白い。

これは現代のJ-POPでも通用するようなかなり当時としては攻めた曲だったのではないだろうか。

もう1曲挙げるとしたら3曲目のファンクナンバー、『Cryin』かな。

ギターのカッティングから始まってチェイスやタワー・オブ・パワーを思わせるブラスアレンジがカッコ良い。

コーラスも含めてこれが全部生演奏だなんて良い時代だよな。

後半のたたみ掛けるヴォーカルも素晴らしい。

ただそれ以降の楽曲はかなり歌謡曲色が強くなってしまう。

別に歌謡曲が悪いわけじゃないけど、曲調にばらつきがあるので松原みきという逸材のデビューアルバムにはもっとトータルでサウンドの方向性をバシっと決められるプロデューサーが必要だったように思える。

アルバム総評

それにしても本当にこれが当時19歳の新人歌手なのか?と思えるほど堂に入った貫禄のある歌いっぷりと表現力。豪華作家陣にバックメンバーには当時の手練れが集められ力の入れようが分かる。

にも拘わらずこのアルバムは最高順位13位とあまり売れなかったみたい。

最近ではシティーポップってカテゴリーで語られるけど、『Pocket Park』というアルバムトータルで聴くと歌謡曲色が強くてちょっと違うんじゃないかと。

粒ぞろいの楽曲だがアルバムトータルだと何かが足りない?そんな印象を受けた。

当時の山下達郎とか大貫妙子みたいな洗練された音楽という印象は残念ながら受けない。

その後、松原みきは売れなくなって水着グラビアをしたりとだいぶ苦労したみたいだ。

まだこの時代は、自分で曲作りしない限り全部一緒くたにアイドル的な売り出しかただったし、リスナー側も松原みきのような本格派の若いシンガーを受け入れる土壌が出来ていなかったのではないだろうか。

でもまさか40年以上経過してこのアルバムが注目されるとは本人も思ってなかっただろうな。

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