悪名高きデヴィッド・ボウイの1974年のダイアモンドドッズスツアーのライブ盤、『デヴィッド・ボウイ・ライヴ』がプロデューサーであるトニー・ヴィスコンティ自らがリマスターし直した。
音質が大幅に向上し、以前のCDでは聴けなかった楽器のパートなども聴こえるようになった。
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1. 1984
2. Rebel Rebel
3. Moonage Daydream
4. Sweet Thing/Candidate/Sweet Thing (reprise)
5. Changes
6. Suffragette City
7. Aladdin Sane
8. All The Young Dudes
9. Cracked Actor
10. Rock’N’ Roll With Me1. Knock On Wood
2. Here Today, Gone Tomorrow
3. Space Oddity (previously unreleased)
4. Diamond Dogs
5. Panic In Detroit (first issue on CD)
6. Big Brother
7. Time
8. The Width Of A Circle
9. The Jean Genie
10. Watch That Man
11. Rock’n’RollSuicide
悪名高いライブ盤がリマスター
この『デヴィッド・ボウイ・ライヴ』がLPでリリースされた当時から迫力がないサウンドとドラッグで疲れ切ったボウイの歌声によって失敗作の烙印を押されていた。
しかし、今回のリマスターにより、『ステージ』と同じくこの『デヴィッド・ボウイ・ライヴ』もスネアの音とベースの音が強調されて音の輪郭がハッキリしてライブの臨場感のある音になった。
すでにスパイダースは解散した後なのでバンドのアレンジが大幅に変わっており、サックスにデヴィッド・サンボーンが入ったりしてかなりジャジーなお洒落さやファンキーさはあるものの、ロックバンドとしてはやや迫力不足気味か。
『デヴィッド・ボウイ・ライヴ』でのデヴィッド・ボウイの声はドラッグの影響と疲労でかすれていて高音も出ていない。
あらゆる意味でこの『デヴィッド・ボウイ・ライヴ』の2年前のジギー・スターダストとはあまりにもかけ離れているのでジギー・スターダストの先入観をもって聴くとガッカリしてしまうかもしれない。
それらを差っ引いても『デヴィッド・ボウイ・ライヴ』はデヴィッド・ボウイというアーティストがグラムロックスターからの脱却をはかりソウルミュージックへ傾倒する時期の『ダイアモンドの犬』という近未来的なコンセプトのアルバムをステージで再現させた貴重な音源であることは間違いない。
ブートを聴く限りダイアモンド・ドッグスツアーのオープニングを飾る『1984』のデヴィッド・サンボーンのサックスで始まるイントロには女性の喘ぎ声が入っていたみたいがオフィシャル版では完全にカットされているっぽい。
ライブバージョンになった事により、さらにリズムの躍動感が強調されたディスコ的な側面とあやしさが際立っている。
サックスとギターが絡み合う退廃的な『Sweet Thing/Candidate/Sweet Thing (reprise) 』は、スタジオ盤以上にどこかロキシーミュージックを思わせる。
オリジナルに比べてジャジーな『Changes』などのアレンジを聴くと当時のボウイがどんな音楽をしたかったのかが伝わってくる。
サックスを効果的に使い、ソウルフルなコーラスを重ねてピアノの音や観客の拍手までが今回のリマスターで見事に再現されている。
その逆に『Suffragette City』などのロックナンバーでは、ミック・ロンソンの抜けた穴がいかに大きかったかを感じさせてしまう。
一番良かったと思ったのが 『Space Oddity』のアコギとピアノのイントロ部分。
この曲の孤独感、浮遊感が一番うまく表現できているバージョンかもしれない。
全体を通してリマスターが非常に丁寧で過去リリースされた同アルバムとは別物と考えたほうがいいかもしれない。
「あぁ本来はこんなライブだったんだな」と思わせてくれるアルバム。
当時のボウイは、ドラッグの影響で本当にいつ死んでもおかしくなかったほどやつれて衰弱していたので、退廃的という意味ではこれ以上ないアルバムでもある。
それにしても日本国内盤のCCCDは頂けない。
USA盤の方が安くてCCCDではないのでこちらをおすすめしたい。
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