デヴィッド・ボウイ/カンヴァセーション・ピース(David Bowie/Conversation Piece)

Conversation Piece David Bowie

2019年に発売された『スペイス・オディティ』のリリース50周年を記念して企画された120ページのブックレット付き5枚組CDボックス・セット。

タイトルの『カンヴァセーション・ピース』は、アルバム、スペイス・オディティのアウトテイク曲からネーミング。

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これまでのボックスセットとの違い

いやー流石にこれは本当に買おうかどうか躊躇した。

何しろフォーカスされる期間がこれまでの5年間とかじゃなく1968~1969年のみと非常に短く、この時代のボウイはロック・スターとして芽が出る以前の地味なフォークシンガーだった頃。

そんなピンポイントの時代のボックス・セット出されても!?と言うのが正直な第一印象だった。

これまで発売されたボックス・セットとの最大の違いは、大判の120ページのブックレットが付属している点。

だから全体的なサイズがかなりデカく大型本の『David Bowie is』と同じくらいのサイズで若干デカい。

デヴィッド・ボウイ/カンヴァセーション・ピース画像1

最も気になるのが自宅デモ曲が収録されたディスク1の存在。

これまでレア曲を集めたディスクはあったけどデモ曲だけのディスクというのは貴重かも。

さらにブートレグが出回っていたマーキュリー・デモのディスク2がクリアな音源で聴けるのはファンとしてはありがたい。

ディスク4以降はオマケと考えても購入する価値はありと判断して結局日本盤を購入してしまった。

ブックレット

普通のCDジャケットの4倍ほどあるし、紙質も良くブックレットって言うより、もう写真集でしょこれは。

これまで見た事のない写真も満載だし、ボウイが書いた歌詞カードなどの写真もあった。

デヴィッド・ボウイ/カンヴァセーション・ピース画像2

ディスク:1

未発表デモバージョンが満載の自宅デモ曲を収録したディスク。

『スペイス・オディティ』だけで何と4つのデモバージョンがあったのは驚きだった。

  1. スペイス・オディティ
  2. 眩惑された魂
  3. イン・ザ・ヒート・オブ・ザ・モーニング (BBCトップ・ギア・ラジオ・セッション・ウィズ・ザ・トニー・ヴィスコンティ・オーケストラ、1968年5月13日録音) (カンヴァセーション・ピーシズ) (
  4. マザー・グレイ (mono)
  5. ジャニーヌ
  6. アイム・ノット・クワイト(ヘルミオーネへの手紙) (mono)
  7. 愚かな少年 (BBCトップ・ギア・ラジオ・セッション・ウィズ・ザ・トニー・ヴィスコンティ・オーケストラ、1968年5月13日録音) (カンヴァセーション・ピーシズ) (mono)
  8. ロンドン・バイ・タ・タ (mono)
  9. フリー・フェスティバルの思い出
  10. ライフ・イズ・ア・サーカス (mono)
  11. ヘルミオーネへの手紙 (アーリー・ミックス) (ボーナス・トラック)
  12. ジャニーヌ (アーリー・ミックス) (ボーナス・トラック)
  13. カンヴァセーション・ピース (カンヴァセーション・ピーシズ) (mono)
  14. スペイス・オディティ (ヴァージョン2) ウィズ・ジョン‘ハッチ’ハッチンソン (mono)
  15. スペイス・オディティ (ヴァージョン3) ウィズ・ジョン‘ハッチ’ハッチンソン (mono)
  16. ジャニーヌ (BBCデイヴ・リー・トラヴィス・ショウ・ラジオ・セッション、1969年10月20日録音) (カンヴァセーション・ピーシズ) (mono)
  17. チンガ・リング・ウィズ・ジョン‘ハッチ’ハッチンソン (mono)
  18. おりおりの夢・ウィズ・ジョン‘ハッチ’ハッチンソン (mono)
  19. レット・ミー・スリープ・ビサイド・ユー・ウィズ・ジョン‘ハッチ’ハッチンソン (mono)
  20. ライフ・イズ・ア・サーカス・ウィズ・ジョン‘ハッチ’ハッチンソン (mono)
  21. カンヴァセーション・ピース (mono)
  22. エルサレム (mono)
  23. ホール・イン・ザ・グラウンド・ウィズ・ジョージ・アンダーウッド (mono)

ホームデモだけあってノイズがあるが、60年代の録音にしてはかなりクリアな音。

ボウイのギター1本の弾き語りで演奏はさすがに荒い。
ボウイの生前だったらこんな音源が世に出る事はまずなかっただろうな。

ボツになった曲も多いので、あの曲の原型はこんな感じだったのか!と感じられる曲は少ない。

その中でシングルになった『スペイス・オディティ』のハッチンソンとの共演の3つのバージョンは際立って素晴らしい。

ボウイの弾き語りから徐々に名曲が誕生していく過程を垣間見れる。

ディスク:2

ジョン・ハッチンソンと自宅レコーディングした「マーキュリー・デモ」バージョンを収録した音源のディスク。

  1. スペイス・オディティ (ウィズ・ジョン・ハッチ・ハッチンソン)
  2. ジャニーヌ (ウィズ・ジョン・ハッチ・ハッチンソン)
  3. おりおりの夢 (ウィズ・ジョン・ハッチ・ハッチンソン)
  4. カンヴァセーション・ピース (ウィズ・ジョン・ハッチ・ハッチンソン)
  5. チンガ・リング (ウィズ・ジョン・ハッチ・ハッチンソン)
  6. アイム・ノット・クワイト (ヘルミオーネへの手紙) (ウィズ・ジョン・ハッチ・ハッチンソン)
  7. ラヴァー・トゥ・ザ・ドーン (ウィズ・ジョン・ハッチ・ハッチンソン)
  8. ラヴ・ソング (ウィズ・ジョン・ハッチ・ハッチンソン)
  9. 僕が5歳の時 (ウィズ・ジョン・ハッチ・ハッチンソン)
  10. ライフ・イズ・ア・サーカス (ウィズ・ジョン・ハッチ・ハッチンソン)

これまでボーナス・トラックなどで聴いていたバージョンとは段違いに音が良く曲作りの生々しさが伝わってくる。

ジョン・ハッチンソンとの息は抜群でこの時期はミック・ロンソンよりも彼がボウイのパートナーだった事がうかがえる。

ディスク:3

タイトル曲である『カンヴァセーション・ピース』と名付けられたディスク。

オリジナルアルバムでは未収録曲の『ロンドン・バイ・タ・タ』や『フリークラウドから来た野生の瞳の少年』の別ミックス等のレアバージョンと1968年のBBC放送で収録された音源を基に構成されている。

  1. イン・ザ・ヒート・オブ・ザ・モーニング (デッカ・モノ・ヴァージョン)
  2. ロンドン・バイ・タ・タ (デッカ・オルタナティヴ・ヴァージョン)
  3. イン・ザ・ヒート・オブ・ザ・モーニング (BBCトップ・ギア・ラジオ・セッション)
  4. ロンドン・バイ・タ・タ (BBCトップ・ギア・ラジオ・セッション)
  5. カーマ・マン (BBCトップ・ギア・ラジオ・セッション)
  6. 僕が5歳の時 (BBCトップ・ギア・ラジオ・セッション)
  7. 愚かな少年 (BBCトップ・ギア・ラジオ・セッション)
  8. チンガ・リング
  9. スペイス・オディティ (モーガン・スタジオ・ヴァージョン、オルタナティヴ・テイク)
  10. スペイス・オディティ (UKシングル・エディット)
  11. フリークラウドから来たワイルドな瞳の少年 (シングルBサイド・モノ・ミックス)
  12. ジャニーヌ (モノ・ミックス)
  13. カンヴァセーション・ピース
  14. レット・ミー・スリープ・ビサイド・ユー (BBCデイヴ・リー・トラヴィス・ショウ・ラジオ・セッション)
  15. 眩惑された魂 (BBCデイヴ・リー・トラヴィス・ショウ・ラジオ・セッション)
  16. ジャニーヌ (BBCデイヴ・リー・トラヴィス・ショウ・ラジオ・セッション)

BBCの音源は期待したほど音質は良くなかったのは残念。

『チンガ・リング』を一緒に歌っているのは元婚約者のヘルミオーネ。
彼女は突然ボウイの前から消えてしまい、『ヘルミオーネへの手紙』という楽曲が生まれた。

ヘルミオーネについては、BBCが制作したデヴィッド・ボウイ『最初の5年間』と『最後の5年間』で本人が当時の事を詳しく話している。

明らかにこの時期の楽曲としては良い出来なのにアルバムに収録されなかったのは、おそらくボウイの心情的な理由だろう。

ディスク:4

オリジナル・アルバムのステレオミックスとボーナス・トラックで構成されたディスク。

  1. スペイス・オディティ
  2. 眩惑された魂(~ドント・シット・ダウン)
  3. ヘルミオーネへの手紙
  4. シグネット・コミティー
  5. ジャニーヌ
  6. おりおりの夢
  7. フリークラウドから来たワイルドな瞳の少年
  8. 神は知っている
  9. フリー・フェスティバルの思い出
  10. フリークラウドから来たワイルドな瞳の少年 (シングルBサイド・ステレオ・ミックス)
  11. ヘルミオーネへの手紙 (アーリー・ミックス)
  12. ジャニーヌ (アーリー・ミックス)
  13. おりおりの夢 (アーリー・ミックス)
  14. ロンリー・ボーイ、ロンリー・ガール (スペイス・オディティ・イタリアン・ヴァージョン、フル・レングス・ヴァージョン)

『スペイス・オディティ』のイタリア語フルバージョンはかなりレアだが、それ以外の楽曲は特に目新しさはないかな。 

ディスク:5

トニー・ヴィスコンティによる2019年最新ミックス・ヴァージョン。

確かに音質は良くなっているけど、エコー効かせ過ぎじゃないか!?

  1. スペイス・オディティ
  2. 眩惑された魂
  3. ヘルミオーネへの手紙
  4. シグネット・コミティー
  5. ジャニーヌ
  6. おりおりの夢
  7. フリークラウドから来たワイルドな瞳の少年
  8. カンヴァセーション・ピース
  9. 神は知っている
  10. フリー・フェスティバルの思い出
  11. フリークラウドから来たワイルドな瞳の少年 (シングル・ヴァージョン)
  12. ロンリー・ボーイ、ロンリー・ガール (スペイス・オディティ・イタリアン・ヴァージョン)
David Bowie - Space Oddity (2019 Mix) [Official Video]

まとめ

今回の『カンヴァセーション・ピース』は、CDボックスというよりも資料集にCDが付属しているコレクターズアイテムと思ったほうが良さそう。

個人的には写真も音源も貴重なものが多く損した気はしなかったけど、どうなんだろうねコレ。

根っからのボウイマニアを自認する人にしか勧められないかな。

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