変わり者が多かったパンク・ニューウェーブ勢の中でも、より一層異彩を放っていたスージー&ザ・バンシーズの記念すべきデビューアルバムにシングル『香港庭園(ホンコンガーデン)』をプラスしたアルバム。
アルバム名の『香港庭園』というのは日本独自のタイトルでオリジナルのタイトルは『The Scream』だった。
- ピュアー
- ジグソウ・フィーリング
- オーヴァーグラウンド
- カーカス
- ヘルター・スケルター(あわてふためいて)
- ミラージュ
- メタル・ポストカード
- ニコチン中毒
- サバーバン・リラップス
- スウィッチ
- 香港庭園
- ステアケイス(ミステリー)
同時期のパンクバンドとは一線を画す個性
スージー&ザ・バンシーズの結成時のメンバーは、ヴォーカルのスージースーを中心にセックスピストルズの親衛隊だった若者たちで構成されていた。
初期メンバーにはドラムスとしてあのセックス・ピストルズのシド・ヴィシャスもいたらしい(演奏は出来なかったんだろーなー)
十代の頃、初めてこのアルバム『香港庭園』を聴いた時、あまりにラフでシンプルな音に嫌気がさしてしばらくほったらかしにしていた。
数ヵ月後に再度聴いてみたら凄くカッコよく感じたのは、あのセックス・ピストルズの勝手にしやがれ!!とまったく一緒の感覚だった。
確かに音は雑なんだけどこのバンド、本当にスゴイ!
デビューアルバムだからテクニックはたいしてないんだけどセンスが爆発している。
デビューシングルは、あとからオープニング曲にくっつけたタイトル曲の『香港庭園』。(リマスター版ではオリジナルと同じ『ピュアー』)
この曲は現代のJ-POPの常識からするとありえないAメロだけの曲。
Aメロだけをひたすら繰り返し間奏もギターソロはなし、なのにちっとも退屈しないスピード感と躍動感に満ち溢れている。
特に初期のみ参加していたギタリストのジョン・マッケイ(マクガフではなくて)のキレのいい勢いのあるカッティング奏法がアルバム全体を盛り上げている。
変わったところではビートルズの『ヘルター・スケルター』をカバーしている。
もともとぶっ壊れた曲だけどスージー&ザ・バンシーズの手によってさらにぶっ壊れた曲に仕上がっている。
時にはリズムに変拍子を使い、音楽理論を無視したコード進行をしながらも『カーカス』や『ニコチン中毒』(なにこの邦題?)なんかの印象はかなりポップでキャッチーですらある。
この手の呪術的でダークなイメージのバンドって独りよがりになりがちだけどそれがないのが何よりすばらしい。
【ジャンル UKパンク】
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Carcass
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