ドラマーのジミー・チェンバレンがドラッグ問題で解雇された後に発表されたスマッシング・パンプキンズ4枚目のアルバム。
アルバム全般で生ドラムの代わりに打ち込みが使われてる。
激しいギターサウンドは影を潜め、機械的でありながらどこか牧歌的でやさしさのあるアルバム。
- トゥ・シーラ
- アヴァ・アドア
- パーフェクト
- ダフニ・ディセンズ
- ワンス・アポン・ア・タイム
- テア
- クレストフォールン
- アペル+オランジュ
- パグ
- ザ・テイル・オブ・ダスティ&ピストル・ピート
- アニー・ドッグ
- シェイム
- ビーホールド! ザ・ナイト・メア
- フォー・マーサ
- ブランク・ペイジ
- ワンス・イン・ア・ホワイル
- 17
ドラマー脱退で音楽性が変化
以前からドラッグ癖でビリーから注意を受けていたジミーだったが、ツアー中にサポートメンバーだったキーボードのジョナサン・メルビンがヘロインを吸引中に死亡。
同席していたジミーはビリーより解雇されてしまう。
この一件によってスマッシング・パンプキンズのバンド構成とサウンドは大きく方向転換をせざる得なくなってしまった。
オープニング曲の『トゥ・シーラ』を聴いて「おっ!これこれ!」と思った。
このアコースティックな静かで優しく美しい曲のイメージこそスマパンの最大の魅力なのだと。
シングルの『アヴァ・アドア』のPVを観てもニューウェーブからの影響は顕著で、ドラムマシーンでの打ち込みが中心のためにどこか暗く冷たい印象も受ける。
前作、メロンコリー収録の『1979』の世界をアルバム中に広げたようなサイバーパンク的な音のイメージを想像させる。
アルバム総評
もうすでに『メロンコリー』でビリー・コーガンの心の膿は出し切ってしまっているので激しい怒りや絶望などの感情の揺さぶりは『アドア』には感じられない。
『トゥデイ』のようなキャッチーなメロディのポップ・ソングも『シルヴァーファック』のような強烈なギターリフのハード・ロックもない。
だからちょっと聴くと『アドア』は地味だし、アメリカでも前作を売り上げや評価でも超えられなかった為、失敗作の烙印を押された感は否めない。
本当に失敗作かどうかは『アドア』を実際に聴いてみれば分かる事だろう。
各楽曲の完成度の高さ、アコギとドラムマシーンの組み合わせは、冷たそうで温かみのある暗くて美しいサウンドを生み出し、新しいロックの可能性を示したと言って良いのではないだろうか。
血管がブチ切れるような轟音ヘビーギターサウンド、そんなのはビリー・コーガンのほんの一部分でしかないのだ。
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