スパークス/キモノ・マイ・ハウス(Sparks/KImono my house)

70年代 ロック US

キモノ・マイ・ハウスは、アメリカ出身ながらイギリスで受け入れられたメイル兄弟を中心とするバンド、スパークスの代表作。

とても日本人には見えない女性二人のわけのわからんメイクとジャケット(1人はデヴィッド・ボウイのスケアリー・モンスターズで『イッツ・ノー・ゲーム』のナレーションをしているれっきとした日本人だが)インパクトはかなりのものだがサウンドはそれ以上のインパクトだった!

  1. ディス・タウン
  2. アマチュア・アワー
  3. 自分に恋して
  4. ヒア・イン・ヘヴン
  5. イッツ・ノット・クリスマス
  6. アスタ・マニヤーナ・ムッシュ
  7. タレント・イズ・アン・アセット
  8. コンプレインツ
  9. イン・マイ・ファミリー
  10. 赤道
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変態兄弟によるアメリカ流グラムロック

『キモノ・マイ・ハウス』でスパークスを初めて聴いた時は、ヴォーカルのラッセルの声を聴いて女性だと思ったが男性が全パートをファルセットで唄っていると後で知ってかなりの衝撃を受けた。

バンドメンバー
  • ラッセル・メイル(Vo)
  • ロン・メイル(Key)

バンドの中心となるメンバーのメイル兄弟の弟ラッセルが細い体の妙な動きで全曲ファルセットで歌い、兄のロンが表情のないヒゲ面で不気味にピアノを弾き続ける。
これが映像で見ると実にあやしいあやしすぎる。

初めて『ディス・タウン(This Town Aint Big Enough For The Both Of Us)』を聴いてなんてヘンテコでカッコいい曲だと思った。
こんなユニークでポップで暴力的で盛り上がる曲はそうそうない。

Sparks - This Town Ain't Big Enough For Both Of Us (Official Video)

その次の曲『アマチュア・アワー』のただでさえキーが高いのに間奏から唐突に無理やり1音上に転調する瞬間とかもう最高っす。
この感覚はデヴィッド・ボウイの楽曲を参考にしているように思える。

Sparks 'Amateur Hour' 1974 in Belgium

ロックでは珍しい3拍子の『自分に恋して』の唐突なソロパートの連続は、ロキシー・ミュージックぽいし、グラムロックをよく勉強して自分たちなりに消化して取り入れているなという感じがある。

『イッツ・ノット・クリスマス』でのイントロのギターリフを聴けば、布袋寅泰がいかにこのアルバムから影響を受けたかがよく分かる。

まあ私も布袋さんからこの『キモノ・マイ・ハウス』を教えてもらったひとりなんだけど。

アルバムの後半に入ってもハイパー感は収まらず、『恋はあせらず』のリズムに脅迫的なスピード感のあるコーラスが乗った『タレント・イズ・アン・アセット』、『コンプレインツ(Complaints)』の転調後にハイテンポ・ロックン・ロールでたたみ掛ける展開など聴きどころは多い。

オリジナル盤ではラストとなる『赤道』での退廃的な曲調にサックスと後半のスキャットが印象的だった。

アルバム総評

一般的にグラムロックに分類されるアルバムだが、アメリカ出身で発表時期も微妙に違う。

間違いなくグラム・ロックに影響は受けているが、さらに一歩進化した新しいロックでニュー・ウェーブの先駆けいうイメージ。

奇想天外な曲展開とヒネクレセンスは21世紀でも十分ヘンでカッコイイ。

2009年4月には渋谷O-EASTにてアルバムに収録された全曲を再現するライブ【Exoticキモノ・マイ・ハウス】を行っている。

そして2022年にはドキュメント映画『スパークス・ブラザーズ』が公開され『ディス・タウン』がiPad AirのCMソングにも起用され世界的に注目される存在になった。

まさかデビューから40年以上経過してここまで再ブレイクするとは本人達も思っていなかったに違いない。

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