イギー・ポップのソロとしては2枚目のアルバム。デヴィッド・ボウイがプロデュースと作曲を担当。1977年リリース全英28位。
タイトル曲の『ラスト・フォー・ライフ(Lust for Life)』は、映画『トレインスポッティング』のオープニングテーマにもなっている代表曲。
- ラスト・フォー・ライフ
- シックスティーン
- サム・ウィアード・シン
- ザ・パッセンジャー
- トゥナイト
- サクセス
- ターン・ブルー
- ネイバーフッド・スレット
- フォール・イン・ラヴ・ウィズ・ミー
イギーのキャリアを代表するアルバム
イギー・ポップのドラッグ中毒からの復帰作に手助けしたのはやっぱりイギー・ポップの才能を誰よりも高く評価するデヴィッド・ボウイだった。
兄弟アルバムになる『イデオット』はボウイのベルリン2作と同様に暗く陰鬱なムードがあるが、『ラスト・フォー・ライフ』には突き抜けた明るさと開放感がある。
同時期に製作されたボウイのアルバム『ヒーローズ』とは従兄弟のようなアルバムで、そういやどっちもジャケット写真はモノクロのアップだったりする。ただ『ラスト・フォー・ライフ(Lust for Life)』のイギーは笑っている。そこに前作やボウイのベルリン時代のアルバムとの大きな違いがある。
ここでのイギー・ポップは良い意味で見事なまでにデヴィッド・ボウイに操られている。
タイトル曲である『ラスト・フォー・ライフ』は特徴的なギターリフが、イギー・ポップにぴったりのアップテンポナンバー。さすがボウイはイギーの活かし方をよく分かっている。
『サム・ウィアード・シン』のゾクゾクするほどカッコ良いイントロとギターリフ、ラフで激しいギターソロ、ここではボウイがグラムロック時代に戻ったかのような仕事ぶりを見せる。個人的にはイギー・ポップのベストソングはこの曲だ。
『サクセス』なんかはどう聴いてもボウイの曲で少しアルバムの中では浮いているが、ノリの良いタイトル曲に代表されるようにシンプルで聴きやすいナンバーが中心。
もうひとつの代表曲である『ザ・パッセンジャー』は、ソフトバンクのCMソングにもなった曲で延々と同じコード進行が続くミニマル・ミュージック的な展開で呪術的な魅力がある。
『ターン・ブルー』はそれまでのイギー・ポップからは考えられないソウルフルなバラード、これがまたえらくカッコいい!
この曲によってアルバムの厚みが非常に増している。
『トゥナイト』は、後にボウイのアルバム『トゥナイト』に収録される気の抜けたレゲエバージョンよりも遥かにパワフルでロマンティックでアレンジもヴォーカルも確実に上質だ。
江頭2 50とイギー・ポップ
以前、YouTubeに『ラスト・フォー・ライフ』のPVをBGMに使った江頭2 50の動画があった。
上半身裸に黒タイツにあのキレのある動き、やっぱりエガちゃんはイギーに影響受けてるなぁ。
アルバム総評
非常にバラエティに富んでいてイギー・ポップの豪快で明け透けな魅力が詰まったいて最後まで聴いても『ラスト・フォー・ライフ』には捨て曲がまったくないどころかすべてが名曲と言えるほどの無駄のないロックンロールアルバム。
『シックスティーン』のみがイギー・ポップの作曲で『ザ・パッセンジャー』がリッキー・ガードナーの作曲で残りはボウイが手掛けた曲となっているのでほぼボウイのアルバムとも言えるが、ボウイが『ラスト・フォー・ライフ』をセルフ・カバーしなかった辺り、やはりイギー・ポップが歌わなければ曲の魅力は全開にならない曲ばかりに思える。
ちなみに本作のリズム隊を担当したセイルス兄弟は、ボウイとの共演がきっかけで後にバンド、ティン・マシーンを結成、その後、ボウイと折り合いが悪くなり兄弟揃って切り捨てられるのだった。
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